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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
GGO編ーファントム・バレット編ー
60.死の正体
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.........!!」」

言葉を失った。

(こいつの言うとおりかもしれない。俺は自分の殺人を忘れたことはない。けど忘れようとしたことは何度もある)

ぐにゃりと歪みかけた視界を、全精神力を振り絞って立て直す。

(結局俺は.......)

「.....そうかもしれない」

隣の少年が低い声で応じる。

「だが、お前らはもう殺人者なんかじゃない。お前らがどうやって《ゼクシード》と《薄塩たらこ》、そして《ペイルライダー》ともしかしたらもう一人を殺したのかは、もう見当がついている。あの黒い拳銃の力でも、ましてやお前ら自身の能力でもない」

「ほう?なら、なんだ。言ってみろ」

キリトは精一杯の力で真相を言葉にする。

「......お前はその光迷彩マントを使い、総督府の端末でBoB出場者の住所を調べた。部屋にあらかじめ共犯者を侵入させ、銃撃にタイミングを合わせて薬品を注入し、心不全による変死を演出した。これが事実だ」

「「...........」」

二人の殺人者は沈黙する。
キリトは、さらに口を動かす。

「お前らは知らないかもしれないが、総務省には、全SAOプレイヤーの、キャラネームと本名の照合データがある。お前の昔の名前が判れば、今の本名も、住所も、お前らが行った犯罪の手口も、何もかも明らかになる。もう終わりにしろ。ログアウトして、最寄りの警察に自首するんだな」

尚も沈黙。

RECマークが点滅させる中継カメラが、焦れたように高度を上げる。キリトの言葉に肯定すれば剣を交える意味もなくなる。

だがーー。
数秒後、フードの下から漏れたのは、これまでと何ら変わらないしゅうしゅうという嗤い声だった。

「......なるほど、面白い、想像だ。でも、惜しいな、《黒の剣士》。お前は、オレを、止められない。なぜなら、お前は、オレの昔の名前を、絶対に思い出せない、からだ」

「ク、ク。お前は、自分がそれを忘れている理由さえ、忘れている。いいか......あの戦いが終わり、ポータルで牢獄に送られる前に、オレはお前に名乗ろうとした。だが、お前はこう言った。『名前なんか、知りたくないし、知る意味もない。あんたと会うことは、もう二度とないんだから』と」

「ーー!!」

言葉を失うキリトに、嘲笑うように死銃が囁きかけた。

「お前は、オレの名前を、知らない。だから、思い出せない。お前は、何もできない。ここでオレに倒され、無様に転がってーーオレがあの女を殺すのを、ただ見てること以外には.......何も、できない!!」

空気を斬る音。薄闇に煌めく銀色の円弧が唐突な動きで、刺剣が突き出される。
光剣がそれを狙撃する。
ぶんっ、とエネルギーの刃が唸り、青白いプラズマが食い込む。
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