第二十二話 狂戦士
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「見つけた……遂に見つけたぞ」
今まで彼等を盗み見していた男は、ようやく戦果が手に入った事に歓喜していた。
街で彼等を見つけたときには、天の思召しだと本気で思った。
こんな最前線から離れた下層に、彼らが居る事自体珍しいのだから。
だからこそ、彼は自らの従者を奴らの仲間の中に潜り込ませた。
一人殺害し、そいつに化けさせる事によって。
幸い、そいつはあまりしゃべらない男だったらしく、疑われる事は無かった。
そして遂にチャンスが訪れた。
そう、疑いようもなく同じであった。
もはや間違いなく、あの黒い装備、あの蒼銀の鎧はキリト、そしてセイバーに他なるまい。
「はは、はははは」
憎悪を眼に血走らせて彼は笑いを漏らした。
この瞬間を夢見ていた。
自らのギルドのメンバー達を死に至らしめた張本人達。
憎んでも呪ってもなお足りぬ怨敵。
「殺せ……」
憎しみを込めてその言葉を吐いた。
今こそその恨みを晴らす。
胸に滾る憎悪を刃に変えて、彼等に挑む時がきた。
「殺すんだバーサーカー!奴らを殺し潰せッ!!」
彼の怨念染みた声を出して、発露させた。
----------------
「お……おい、どうなってんだよコイツ……」
一人が異常なものを見るかのように顔を歪める。
腕を止めながら数歩下がる。
残りの七人も攻撃を中止し、距離を取る。
それもそうだ。
キリトのHPが全く減っていないのだから。
「……十秒あたり四〇〇ってとこか。それがあんたらが俺にダメージを与える総量だ。俺のレベルは78。HPは一四五〇〇……さらに戦闘字回復スキルによる自動回復が十秒で六〇〇ある。何時間攻撃しても俺は倒せないよ」
その言葉に男達は愕然としている。
その内、サブリーダーと思われる両手剣士が口を開いた
「そんなの……そんなのアリかよ……。ムチャクチャじゃねえかよ……」
「そうだ」
吐き捨てるようなキリトの言葉。
「たかが数字が増えるだけで、そこまで無茶な差がつくんだ。それがレベル制MMOの理不尽さというものなんだ!」
キリトの怒号のような声が辺りに響いた。
威圧されたかのように男達は後ずさる。
ロザリアも同様に悔しげな表情を浮かべながらも、逃げ出そうと思い転移結晶を取り出そうとした。
だが、突然ある事に気付く。
彼女たちの仲間の一人がその場にいない事に。
ギルドのメンバーはロザリアを含め十一人。
だが、この場には十人しかいない。
何故?
そうロザリアが思った瞬間、突如背後に何かの気配を感じた。
振り返ると、その姿が無かったメンバーの一人が立ち尽くしている。
なんで出てこなかった!!
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ