暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第24話 木の精霊
[12/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
しくなって来ました。まあ、それは父上も同様なのでしょう。先程から「参ったな」や「如何しよう」とか、独り言が止まりません。その気持ちはよく分かります。



 途中でお昼休憩をはさみ、この時初めてディーネに事情を説明しました。ディーネは少しだけ怒りましたが、私達の説明ですぐに落ち着き納得してくれました。この時父上が《錬金》した瓶に、ディーネの血を少し分けてもらいました。

 昼食後、2時間位でラグドリアン湖に到着しました。ディーネとイネスには、畔で待機してもらいます。私と父上はフライ《飛行》で、湖の違和感がある場所を探します。ほどなくして、精霊が居ると思われる場所を発見しました。私は父上に支えてもらい、《飛行》を解除します。そして、ディーネの血を気泡で包み湖の上から落としました。精霊の居る場所に到達すると、気泡を解除します。

 すぐに水が輝き、水面が膨らんで水の精霊が出て来ました。不定形なその姿は、木の精霊とは対照的と言って良いでしょう。と言うより、決まった姿が在る木の精霊の方が、精霊の中では変わり者なのかもしれません。

「単なる者よ。我の知る体液を持つ貴様等は何者だ?」

「体液の持主はラグドリアン湖の畔に居ます。そちらで私達の話を聞いていただきたい」

「良いだろう」

「こちらです」

 私と父上は、水の精霊をディーネの元に案内しました。水の精霊はディーネの姿を確認すると、その姿を粘土の様に変え始めます。何度も変化を繰り返し、最終的には裸のディーネの姿になりました。そして今度は、表情を試し始めました。その姿を見ているディーネは、凄く複雑な表情をしていました。

 ひとしきり試し終ると、水の精霊から声が響きました。

「話とはなんだ? 単なる者よ」

「実は我々は、貴方にお願いしたい事があって、この場に来たのです」

 水の精霊の言葉に、父上が返答をしました。続きを言おうとする父上を、私が待ったをかけました。

「父上。続きは私に任せてください」

 父上は少しだけ考えて、すぐに場を私に譲ってくれました。

「水の精霊よ。言葉とは不便な物です。本当に伝えたい事の半分も、伝えられない事がままあります。そこで、私の頭の中を覗いていただきたい」

「む」「えっ」「!!」

 父上、ディーネ、イネスの順に、それぞれの反応を見せました。恐らくこの場に水の精霊がいなければ、3人とも猛反対をしたでしょう。父上は私が木の精霊に、頭の中身を覗かせた事を知っています。しかしそれは無実を証明する為で、仕方がない事だったと思っていたはずです。

「良いのか? 単なる者よ。単なる者は、我に頭の中を覗かれるのを、恐れると思っていたが」

 私が大きく頷くと、水の精霊は私を包み込むように水を展開しました
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ