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センゴク恋姫記
第3幕 夏侯元譲
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謝ることしか出来んが、華琳には非はない。許してやってくれんか」
「……貴様」
「……ふう。春蘭、私とゴンベエの謝罪、受けてくれるのかしら?」

 曹操の言葉に、はっとする夏侯惇。
 曹操とゴンベエを交互に見て――

「も、もちろんです! 華琳様に謝罪いただくなど恐れ多い………………え、ええい! 貴様! 名前は何だ!」
「む? ワシか? ワシは仙石権兵衛じゃ…………華琳よ、この場合は諱も言うべきかの?」
「…………ふむ、そうね。どうせなら預けちゃいなさい。春蘭、ゴンベエは貴方に自分の真名にも当たる名前を預けるそうよ?」
「な、なんですと!?」
「……まあ、真名ほどの意味は無いんじゃがの。ワシは、仙石権兵衛秀久じゃ。華琳にも言ったが、諱は本来、友人や家族でも呼ばん名じゃ。じゃから諱を知ってもゴンベエで頼む」
「………………」

 ゴンベエが正座をしつつ顔を上げる。
 その真摯な目に、夏侯惇は思わず顔を赤くして目を逸らせた。

「……どうしたの、春蘭。受け取らないの?」
「か、華琳さまぁ……」

 困って泣きそうな顔。
 正直、どう受けるべきか迷っているようだった。

「ふむ……まあ、そういうことであれば姉者も強くはいえんな。ゴンベエと言ったな。その諱とやら、真名ということで預けるということだな?」
「うむ。ここに来るまでにヌシの事も聞いた。自分の姉の危機であれば、矢を受けるのもやむなしじゃろう。逆に、ヌシの姉を手に掛けようとしていたことを詫びる、この通りじゃ」

 そう言って、今度は夏侯淵に土下座するゴンベエ。
 これにはさすがに夏侯淵も真っ赤になる。

「よ、よしてくれ! どうやらそれがお前の謝罪のようだが、大陸ではそれは神仏や皇帝に対してのみ行う絶対服従の仕草なのだ。私はそんな立場にいるものではない」
「む、そうなのか……? どうやら本当にここは日ノ本ではないんじゃのう。謝る仕方も違うとは」
「そもそも謝罪というものがな…………なるほど。ここまで常識が違えば、真名を知らずに呼んでしまうことも頷けるな」

 夏侯淵は苦笑して何かをしまう。
 それは隙あらば、ゴンベエを殺そうとしていた暗器だった。

「仕方あるまい、私は許そう。その上で……その諱とやら、私も預かって良いのかな?」
「む? ああ、普段呼ぶのでなければ別に構わん。ワシのことはゴンベエと呼んでくれ。えっと……?」
「ああ、すまない。自己紹介もまだだったな。私は、姓は夏侯、名は淵、字は妙才…………真名は秋蘭だ」
「しゅ、しゅうらん!?」

 妹が自ら真名を口にしたことに驚く夏侯惇。
 実はその横で曹操も驚いていた。

「姉者よ。この男は本気で詫びている。大陸の常識すら知らないのに、真名というものが大切なモノだと理解し
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