暁 〜小説投稿サイト〜
Geet Keeper 〜天国と地獄の境〜
最終審査会特訓・水野希美の場合
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出す作業に取り掛かろうとした時、女の子の眼がうっすらと開いた。


『死神さん…?』


消え入りそうな声で女の子は呟いた。
バレている。


『見えんの…?』

『はっきりとは見えないよ。でも…来るんじゃないかなぁって…思ってたから』

『そう…悪いけどお嬢ちゃんはあと3分後に死ぬことになってるから。』

『3分かぁ…ねぇ死神さん。それ、もう少しだけ待ってもらえないかな…?』

『え…?』

『ママにも…パパにも…誰にもお別れ言ってないの…目が覚めたとき私が死神さんと一緒に行っちゃってたら…ママもパパもきっと悲しむから…』



生前の、14歳の自分がフラッシュバックした。
火災事故に巻き込まれて全身火傷を負い、搬送先の病院で死神を見た、あの時の自分。
部活の合宿先での事故だった為に、両親の到着が少し遅れていた。
死ぬのは仕方がない。でもせめて最後に謝りたい。”お父さんお母さんごめんなさい”。
このまま死神の言うがまま一緒にあの世へと行ったら、両親は確実に生きている最後の自分と会うことはできない。
一人っ子で好き放題させてもらってきたくせに、死ぬときは何も言わずになんて…そう思って血梨は死神に頼んだ。”あと数時間待って欲しい”と。







あの時の自分が、そこに横たわっているような気がした。








『ダメ…かな…?』


もう日付が変わろうとしている。
死ぬ運命にある魂を数分でも見逃すことは、死神の世界では掟破りになってしまう。
それどころか、天界の神々たちにも迷惑をかけることになる。
運命を操作しているのは彼らなのだから。
運命の歯車が寸分でも狂えば、世界全体に影響を及ぼす。
わかっている。痛いほどに。


『…日が昇ったら、連れて行くからね。』

『ありがとう…死神さん…』









規定通りの時間には狩れなかった。









女の子が両親に別れを告げ、両親が涙に暮れている中、血梨は規定時刻より6時間遅れて女の子を連れて行った。
心音図が0を指す”あの音”を聞きながら。






谷へと戻った血梨は自ら不備を報告し、罰を受けると言った。
死神の規定に反した行いをした始末は自分でつけなければ。
だが、上司の口からでた言葉は意外なものだった。



”門番の守護神をして自分をもう一度探してきなさい”



「それで守護神になったのか…」

「まぁほら、あれだよ。私が未熟だったんだよね〜。何万もの魂を狩ってきたのに、どうしてもあの子だけはすぐに狩れなかった。これだから困っちゃうよね〜生前の記憶持ちはさ。大事な時にフラッシュバックし
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