最終審査会特訓・水野希美の場合
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のに両手で支えられるなんてさ!」
支えられるといってもほんの数秒だ。
「…お褒めの言葉どうも。っていうか…はぁ…はぁ…っあんたって…死神なんでしょ?」
「そうだよ〜。死神の中でも一流の死神ね!」
「自分で一流とか言っちゃうのはどうかと思うけど…はぁ…はぁ…なんでそんなに一流なら…守護神なんかやってんのよ?」
血梨は『やはりそうきたか』という顔をした。
「ん〜…簡単に言うと”自分見直しのため”かな?」
「見直す?なんでまた?一流なんでしょ?」
「一流だからこそっていうか…まぁいっか。どうせ長い付き合いになるんだし。じゃあ休憩がてらお話してあげよう!」
「死神ってね、元々は人間なの。そこ、大前提ね。でも人はいつか死ぬ。病気だろうと老衰だろうといつかは必ず。だけど”若くして死んだ魂”は、天国でのんびり暮らすか死神として働くか選べるの。
そして14歳であの世に送られた私は死神として働く方を選んだ。まぁこれは完全に興味本位。自分も死ぬ間際に死神と話したからね〜。」
「でもさ、死神って”もうすぐ死ぬ人の魂を狩る”んでしょ?元々人間なら罪悪感っていうかこう…やりづらくないの?」
「最初はそりゃぁやりづらいよ〜。狩らなきゃいけない人間の中には当然ながら命乞いするやつもいるしね〜。でも狩らないとその人間はあの世にいけないんだから狩ってあげないとじゃない?」
「あの世にいけない…そうなんだ…」
「死神になって決められた期間修行を積むと”死神の谷”への所属が認められるのね。あの世の外れにあって、東西南北にそれぞれ谷があるんだけど、どこの谷も同じってわけじゃなくて能力によって住み分けされてるの。ちなみに私は東の谷所属。そこでコツコツ仕事して、やっとこさちょっとエライ地位まできたんだけど…」
東の谷で第一等級班のリーダーを任された血梨は、ある日いつも通りに魂を回収していた。
上からリストを渡され、そのリストに書かれた人間の魂を狩る。ただそれだけの、いつもの仕事。
でもその日最後の魂だけは”狩れなかった”。
対象は交通事故で病院に搬送された14歳の女の子だった。
向かう途中に現場を見たが、悲惨だった。
”あぁ、これは即死だろうな”と思った。
だが、病室に潜り込んでみると、女の子はまだかろうじて息をしていた。
しかし外傷はひどく、片腕は切断を余儀なくされ、爆発のせいか顔は包帯で覆われていた。
死神はなるべく対象者に見られてはならない。
見えない人間がほとんだが、中には生前の血梨のように見えてしまう者もいる。
痛みを感じているのか定かではないが女の子は眼を閉じていた。
こっそりと気づかれないように魂を引き
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