第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
内なるサクラ
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と言ったって無駄……ッ!?」
不意に体の自由が失われた。なにっ!? と問いを投げかけるも答えられる者はいない。悪寒が体を襲い、震えながらいのは頭を抑える。すると出し抜けに少女の、サクラの声が聞こえた。
――ナルトの奴うるっさいわねー!
「ッ!?」
「お? どーしたいの」
「うぅ、うッ、うう……!」
身を乗り出したマナが落ちないように支えつつ、ハッカも身を乗り出していのに乗っ取られているはずのサクラに視線を向けた。
――それにしてもそう。私がいのなんかに……
頭を抑え、サクラ――いのが体を捩ってうめき声をたてる。内部から抗おうとしている精神にいのの精神が放り出されようとしているのだ。
「サクラ!? っそんなバカな……ッ!」
何が起こったんだと疑問に思っていた観衆たちも、どうやらサクラの精神が抗っているらしいということに気づいたらしい。彼らの興味深げな視線がこの二人のくノ一の精神のどちらが強いのかを見極めようといのに乗っ取られたサクラに注がれる。
「……どうしたんですか? 棄権ですか?」
問いかけるハヤテの穏やかな声に、答えたのは棄権した時と同じ声だ。けれどその声を出した精神は、違う精神だった。
「だぁああああっ! 棄権なんかして、たまるもんですかぁああ!」
――しゃーんなろォッ!
内なるサクラ――それはサクラがずっと胸のうちに隠してきた自分の一面だった。乗っ取られた普段のサクラの精神に変わり、内なるサクラがいのの精神を強引に押しのける。
――な、なんですってえ!?
そんな、あなたどうして。そういう暇もなく、普段の表のサクラの精神がいのによって押さえつけられたことにより、代わりにいつもサクラによって押さえつけられていた内なるサクラの精神が膨れ上がり、その精神エネルギーが巨大化する。
――あたしが術をしくじるなんてっ……!
内なるサクラの両手がいのの意識体をきゅうう、と締め付ける。
――いの! 私の体の中から早く出て行かないと、豪い目にあうわよ!
両手で頭を抑えながらもがいていたいのの精神が、ついにそれを諦めた。
――だめ! このままじゃ、あたしの方がもたない……! 解!
印を結ぶのと同時にいのの精神エネルギーが放出されて、自身の元の体に戻っていく。それと同時に精神的にも肉体的にも消耗していたサクラが地面に崩れ落ちた。
いの・サクラ共に大分消耗しており、息は荒い。息を乱しながらも、いのはサクラをにらみ付けた。
「精神が二つもあるなんて……アンタ何者よ!?」
「美しさと並び立つ強さ……女の子はタフじゃないと生き残れないものよ!」
心転身が解かれたことにはいののチャクラ不足も含まれていたかもしれないが、しかしそれよりも大きいのはサ
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