第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
内なるサクラ
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地面に当てられている。その両手とサクラの両足を、チャクラがつないでいた。
「かかったわね、サクラ」
すっとその頭が擡げられ、青い瞳がいたずらっぽく輝く。
「やっと捕まえたわあ」
「まさかっ、」
「そのまさか。さっきの印を結ぶ行為はただの縛り。ちょろちょろ動くアンタをこの仕掛けに追い込むためのね……。どーう? 全然動けないでしょう。私の髪にチャクラを流し込んで作った、特性の縄よ」
よくよく見れば、いののチャクラを通している物質は確かに彼女が切り落としてばらまいたばかりの金髪だ。いのは片足でチャクラ縄を押さえてチャクラを流し、サクラの体を固定して、自由になった両手で印を組んだ。
「これであんたの体に入っていってギブアップっていってしまえばおしまい。――百パーセント、外れることないでしょう?」
自分の術の欠点くらい、いのが一番よく知っている。父たるいのいちもこの術を伝授する時にそのことについて講釈を垂れていたし、そんな欠点を知っていてこそいのはシカマルの影真似の代替品となるものを探していた。そして彼女はその代替品に自分の髪を選んだのだ。
「……あのバカ、キレてたのは芝居だったのか」
「逃げろ、サクラちゃん!」
「サクラ!」
サクラが必死に縄の呪縛を解こうとするも、なかなか思うように動けない。じゃあ、といのが精神エネルギーを集中させた。
「心転身の術ッ!!」
それと同時に、彼女の髪を伝って流れていたチャクラが途絶えた。精神エネルギーが身体を離れ、身体エネルギーと練り合わせてチャクラを練成することが出来なくなったからだろう。いのの体がまたしてもがっくり下がって、サクラの両腕がだらりと垂れた。
「残念だったわね……」
体の中にいるのは誰だ? いのか? サクラか? 言葉だけではまだまだ判断できない。顔を上げたサクラの表情から見て取れるサクラとは別人の面影に、マナは一瞬で悟った。
「サクラ」
中にいるのは、いのだ。
サクラの手がいのの意思によって持ち上げられる。その中に宿るのがいのの意思でも、外見も声色も完全にサクラのものだ。サクラの体でいのが言ったギブアップはつまりサクラの降参を意味する。
「私、春野サクラは、この試合、棄権しま――」
「ダメだぁ!!」
不意に聞こえた絶叫に振り返れば、ナルトだった。
「サクラちゃああーん!!」
「……チッ。うるさいわねアイツ」
「ナルト、お前ってば他人の試合に干渉するのやめろよ……」
はあ、とマナがため息をつく。しかしマナのそんな言葉にもナルトはどこ吹く風で、
「折角ここまで来たのに、ここでサスケバカ女なんかに負けたら、女が廃るぞぉーッ!!」
と大声で叫ぶ。
「だからそんなこ
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