第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
内なるサクラ
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傍観者同様、いのも予想外に長引いた戦いにイライラしたのだろう。ややヒステリックに叫んだいのに、呼吸を荒げながらもサクラは嘲るような笑みを浮かべた。
「見た目ばかり気にして、チャラチャラ髪なんか伸ばしてるあんたと、このあたしが互角なわけないでしょ?」
眼中なし、という先ほどの言葉を言外にまた言われたような気がして、いのの顔が怒りにゆがんだ。すらっとホルスターからクナイを抜き放つ。
「アンタッ! 私をなめるのも、大概にしろォッ!」
本気でキレたいのに、シカマルは呆れた顔つきになり、チョウジは顔をしかめた。
「……ばーか、挑発にのりやがって……。いのの奴、なにしだすかわかんないぞ」
「ぼく、あんないのイヤ……」
いのが長いポニーテールを掴んだ。クナイを握って、そして彼女はその髪を切り飛ばした。金色の髪が太陽の光のかけらのように輝き、シカマルやチョウジやナルトたちの目が大きく見開かれる。驚いていたサクラはすぐに不敵な表情を取り戻した。
「いやいや、切ればいいってもんじゃねーだろ」
とマナが呟く。単純ね、とサクラが嘲るように笑った。
――ヤベ、完璧キレてやがる
長い髪を勢いよく切りおとすその姿にいのが本気でキレたことを悟ったシカマルの顔が引きつる。
「こんなものォッ!」
それをサクラと自分との間に投げ捨てる。金髪がひらひらと飛び散った。はじめとナルトはガタガタ震えて抱き合った。それほどにキレたいのは迫力があったということだろう。
「さっさとケリつけてやるわ……すぐにアンタの口から、参ったって言わせてやる!!」
いのが叫んで、印を組んだ。
「っつうか、おい! まさか……!」
「いの、もしかして……!?」
いのが組んだ印――それは心転身の印だ。山中一族に代々伝わる印であり、対象の精神を乗っ取ることが出来る術。彼女はサクラを攻撃で圧倒しなくても、サクラの精神を乗っ取れば彼女にギブアップと言わせて勝利することが可能だ。
「……焦る気持ちもわかるけど、それも無駄よ?」
「ふんっ、どーかしらねえ?」
その間いのの両手は照準機のようにサクラに狙いを定めている。山中秘伝の術を、サクラは書物で読んだことがあった。
「忍法・心転身の術。術者が自分の精神エネルギーを丸ごと放出し、敵にぶつけることにより、相手の精神を数分間乗っ取り、その体を奪い取る術。けど、その恐ろしい術には重大な欠点があるわ」
いのの青い瞳を見据え、サクラは淡々とつげる。
「まず第一に、術者が放出した精神エネルギーは、直線的、かつゆっくりとしたスピードでしか飛べない……。第二に、放出した精神エネルギーは、相手にぶつかり損ねて逸れてしまった場合でも、数分間は術者の体に戻れな
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