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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第2話:ハイジャック事件−2
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ゲオルグは、ティルトロータを呼び寄せると屋上の端に座って
もう一本タバコをふかしていた。
しばらくすると低い音を響かせて飛んでくるAST−21型輸送機
通称ティルトロータが目に入る。

(やれやれ・・・)

ゲオルグはゆっくりと立ち上がり、倉庫の屋上に着陸しようとする
ティルトロータの方へと歩いて行く。
ティルトロータが屋上にふわりと着地すると、チンクとイーグル分隊の
数人が降りてくる。

「こいつらが狙撃をやってた連中か?」

歩み寄ってくるチンクの言葉にゲオルグは無言で頷く。

「あと、コイツも持って帰って調査しといてくれ」

ゲオルグはそう言って自分の足元を指差した。
そこには2丁の狙撃銃と拳銃が1丁、無造作に置かれていた。

「了解した。 お前は帰らないのか?」

「言ったろ。 次元港の警備部隊と話してから戻るよ」

ゲオルグの言葉にチンクは首を傾げる。

「そうだったか? まあ、了解だ。 ではな」

「ああ」

ゲオルグは片手をあげてティルトロータに乗り込んでいくチンクを見送る。
チンクが乗り込むと即座にティルトロータは離陸して隊舎のある
港湾地区に向かって飛び去った。
その姿を見送っていたゲオルグが倉庫の入り口に目を向けると、
1台の黒塗りの乗用車が止まっていた。

「さて、と。 行きますか」

ゲオルグはそう呟くと、倉庫の端から地面に向かって飛び降りる。
重力に従って加速していくゲオルグの身体は、地面の直前で減速し
着地のときにはスタッという小さな音を立てる程度だった。
車のそばで立っていた男は、音もなく現れたゲオルグに一瞬驚いた表情を見せるが
すぐに冷静さを取り戻し、後部座席のドアを開ける。

「シュミット2佐、どうぞ」

「どうも」

ゲオルグは男に向かって軽く手を挙げて謝意を表すと、後部座席に身を沈める。
男が運転席に座ると車は音もなく走り始める。
ゲオルグが窓の外を流れている景色をぼんやりと眺めている間に車は
次元港のターミナルビルの前にたどり着く。
そこにはカメラを持った報道陣が多数詰め掛けていた。
ちょうど、次元港の報道官が報道陣の前に現れた。
報道陣はその報道官を取り囲み、2重3重の人垣を作り上げる。

ゲオルグを乗せた車はその輪から50mほど離れたところで止まった。
運転手がドアを開け、ゲオルグは車を降りるとざわついている人垣を横目で見ながら
警備部隊の隊舎に足を向ける。

「シュミットさん」

建物まであと少しというところでゲオルグは後から声を掛けられ振り返った。
そこには人当たりの良さそうな笑顔を浮かべた30歳くらいの男が立っていた。

「あ、これはどうも」

「いえ、こちらこそ。 今日
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