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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 一輝と湖札の物語 B
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一輝と湖札の二人が勝ったため、鬼道父は修行メニュー五倍を死に物狂いで行い、二人は近くにある森の中を散歩していた。
何をするか考えた結果、特にやることがなかったためこうして散歩することにしたのだ。

余談だが、湖札はまた一輝の腕に抱きついている。

「なあ湖札、冬とはいえこれだけくっついて暑くはないか?」
「そんなことないよ!私はお兄ちゃんへの愛で年中暑いから、このくらいなんともない!」

一輝はもはやあきれを通り越して感心している。
むしろ、こうでないと違和感を感じてしまうほどだ。

「それに、こうしていられる時間も少ないしね・・・」
「どういうことだ?中学に入ったら自重するとか?」
「あ・・・」

湖札はしまった、というような顔になる。
心の中で思っていたことが口に出てしまい、しかもそれが一輝に聞かれてしまったからだろう。

「ええと、その〜・・・」
「俺の予想ははずれか。じゃあ、どうしてだ?」

湖札は何とか言い訳を考えようとするが、結局思いつかず、事実を話すことにした。

「まだ父さんと母さんにしか言ってないんだけど・・・ちょっと魔物とかの勉強のためにいろんな国を回ろうかと思って。」
「どうしてまた?」
「特に理由はないよ。ただ、もっと妖怪とか、魔物とかについて知りたいって思っただけ。」
「勉強熱心だな。それって陰陽師留学扱いで?」
「うん。頑張って中学の内容は全部終わらせて、この間やった試験で許可が出たよ。」

用語解説だが、陰陽師留学とは陰陽師の卵がその力を伸ばすために行う留学のことで、一定量以上の実力があることと義務教育を終えるか、その間に習う内容の試験に合格することで許可が下りるものだ。
つまり、湖札は小学六年生にして中学三年までの内容を全て覚えた、ということである。

「まーた頑張ったな・・・そこまでしていきたかったのか?」
「うん。それに、この留学で私の能力についても知れるかもしれないし。」
「ああ、確かにな。確か、何かしらの神から与えられたもの、だっけ?」
「うん。だから目的としては、その神様が何なのかを知ることと、お兄ちゃんの能力について何か分からないかな、って感じかな。」
「俺のか・・・まあ、期待せずに待ってるよ。」
「うん、あんまり期待しないで。私のと違って、お兄ちゃんのは何にも分かってないんだから。」

そう、二人に陰陽術とは別の能力が宿っていることを知った両親は、その正体をつかむために霊視できる人間に霊視を頼んだが、湖札のものは何かしらの神から与えられた力だとわかったのに、一輝のものについては完全に謎。何にも分からなかったのだ。
だが、一輝はあんまり気にしておらず、むしろ変に決め付けられなくてよかったと思っている。

「そうか・・・となると、もう
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