陽龍と陰龍
陰龍覚醒
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、水の蒸発音
忙しく走っている蒸気車、乗っているのはアルフレッドとその他のハンター。
「もうかれこれ何時間走ってる?」
「計算では二時間ほどです、あと一時間で着くと思います。」
アルフレッドが舵をとり、蒸気車を走らせていた。
上空では空の王者リオレウスがハンターたちを運んでいる。
「空が暗い…、アマツマガツチか?」
「恐らくそうだと思います。砂漠には似つかわしくなく降雨もしてますし。」
「そういえばガムロスは?」
セージが空を見上げる。
陽龍ガムロスはリオレウスの後を舞うように着いて来ている。
荷車の片隅ではロギアが俯いていた。
(―――抑えろ…抑えるんだ…)
自らの太刀を肩に抱き、腕組みをしながら貧乏ゆすりをするロギア。
何かに怯えながらも必死にそれに抗おうとしていた。
意識を飲まれてでも古龍を倒すか、一歩退くか。
狩人の悲しき葛藤。
ワーノルドはそれに気づいたのか、一杯の酒を差し出した。
「…ありがとう、ワーノルド。」
「ロギアさん、どうしたんですか。貧乏ゆすりなんてらしくないですよ。
その太刀には一体何があるんですか?」
「…いつから気づいていた?」
「ドンドルマの宿で朝を迎えた日です。あの時ぼーっとその太刀を見据えてましたから。」
「…ちょうどいい、皆にも話しておこう。
俺は今日人間じゃなくなるかもしれない。」
「ノストレイジとイビルジョー、ですね?」
舵をとるアルフレッドがつぶやいた。
「やはり分かっていたか。学者には敵わんな。
この前の太刀、幻影夢想刀【黒夢白現】は古龍の太刀。
その太刀に混ざることのない飛竜の力が混ざった。
古龍に憎悪を抱けば俺は人としての意識をこの太刀に飲まれ、ただの戦闘人形になってしまう。」
「…へへっ、何だそんなことか。」
ダイラスがハンマーを高く挙げ
「ロギアさんが出るまでもねえ、俺が全部片付けてやるよ!」
意気込んで見せた。
だが、かすかにハンマーが震えているのをロギアは見過ごさなかった。
(―――少年の心遣い、か。フッ)
「ありがとう、ダイラス。これは俺が出るまでもなさそうだ。」
「へへっ…ってアル!右を見ろ!」
アルフレッドが言われた方を向くと巨大な土ぼこりと共に走る獣竜種の姿が
「あれは…獣竜種?だけじゃない!
角竜や鎧竜、あまり飛ぶのが得意じゃない飛竜種もいる!
ということは…!」
アルフレッドは先頭と上空を交互に見た。
その上空を飛んでいたのはこの世界に多数蔓延る飛竜達。
そして先頭を走っていたのは他でもない、貪食の凶王イビルジョー。
「やはりあのイビルジョーか…、心なしか太刀の柄が震えてやがる。」
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