陽龍と陰龍
陰龍覚醒
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び上がった。
蒸気車もゆっくりと重い腰を上げるように走り出した。
セクメーア砂漠南の村、パティオ村
「母さん!空の様子がおかしいんだ!」
「いつものことだろう?外には出るんじゃないよ!」
「違うんだよ母さん!ほら、来てよ!」
呼ばれるがまま家の外に出ると
「ほら見てよ母さん!北のほうがあんなに真っ黒に…!」
空に渦巻く暗雲、雲の天井を稲妻が飛び交う。
そしてその影には
「お、おい。あの影は最近ユクモって村の近くに出たアマツマガツチじゃないか!?」
「ほ、ホントだ!皆、逃げろー!!」
村の真ん中を歩いていた人々が一斉に手に持っていた物を捨てて一目散に逃げ出した。
平穏な村は一瞬にして恐怖と混乱に包まれる。
先ほど家から外に出た母親はこの光景に見覚えがあるようだった。
「母さん、俺たちも逃げよう!」
袖を引っ張る子供をよそに逃げ惑う人々に向かってこう叫んだ
「うろたえるんじゃないよ!」
逃げ惑う人々が一瞬にして立ち止まる。
「まだ北のほうに現れただけじゃないかい!この村ほっぽってどこへ行くのさ!」
静まり返る村人たち。
一喝した後、腹をくくったような面持ちで袖をつかむ子の頭を撫で
「フィル、あんたは家の地下室に隠れてなさい。
この辺は直に嵐になるだろうからね。直ぐに父さんとセージがくるだろうから。」
「え?母さん、どこに行くの?」
「…、父さんの酒代を払いにいくのよ。」
「分かった。早めに帰ってきてよ!?」
「任せておきなさい!」
母親は一度家に戻るとほこりをかぶり、蜘蛛の巣がはった装備ボックスを開けた。
中に入っていたのはまだ新しい回復薬、回復薬グレート、こんがり肉G、等々ハンターの必需品。
そしてシンフォニーXシリーズとエストニアXシリーズ。母親はシンフォニーXシリーズに着替えた。
シンフォニーXシリーズはその昔武具の開発がまだろくに進んでいなかった頃、当時猛威を振るっていた金火竜を倒した女性ハンターに
東方の国々で語られる戦女神をモチーフとして作られた防具。
装備すればその鎧に宿る戦女神の加護を受け、携える武器は戦神の業力が如く輝くという。
もう一つ取り出したのは封龍宝剣【隼】
輝く刀身は折れることなく、向かう切っ先は敵居所無し。
防ぐ盾は全てを返し、その風貌に龍はひれ伏す。
「さて、ブランクがどれほどあるやら…。
そういえばリオソウルXシリーズがないわね。」
母親は片手剣を腰に提げ
「ガイル、私もそっちへ行くから。」
家を後にした。
小刻みに揺れる荷車
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