第十話 〜アスナが地球へ行くお話 後編【暁 Ver】
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うなると……」
「心配ない。結界はあたしの『封鎖領域』を使う。あたしが設定した『条件』に合致するものだけ結界内に残しゃいい。言い出しっぺだしな、やってやるさ。……はやてが言った、ばぁちゃんはどうすんだ?」
ヴィータ副隊長の問いかけに答えたのは、なのはさんだ。
「結界を展開するところをあまり見られたくないし、頃合いを見計らって外から連れてくるのが一番いいかな。その役目はアスナが適任だね。アスナなら結界への出入りは自由自在だし。それに……うん」
なのはさんは歯切れ悪くそこで口を噤んだ。あたしは彼女が何を言おうとしたのか何となくわかる。
「アスナの完全魔法無効化能力は反則だよな」
「……勝ち組だからな?」
「うるせーよ」
まだ、何もしていないのに皆の顔に浮かんでいるのは笑みだ。アスナがそのことに気が付いてくれると嬉しいと思う。目標よりも過程の方が大事な場合もあるんだと言うこと。そして──── あんたはもう一人じゃないと言うことに。
「言い出しっぺとは言え、ちょっと面倒だぞこれ」
湖の魚とか持って来ちゃうと不味いよな。それに……今更だけど、向こうにバレると怒られるよなこれ。まぁ、いいさ。何を考えてるかさっぱりわかんないアスナが、はやてとあたし達を頼ったんだ。なんだか楽しいしな。
「よし──── いけ」
その瞬間。世界が切り取られた。
一歩足を進める。敵を斬る為ではなく、主はやてを……大切な仲間を護る為でもなく。一歩足を進める。昂ぶった体に水の冷たさが心地よい。ヴィータの張った結界は完璧だ。何も心配はない。一歩足を進める。昔の私が今の私を見たら『くだらないことを』と嘲笑うだろうか? 『意味がない』と呆れるだろうか? どうでもいい。これが今の私だ。一歩足を進める。さぁ、倒すべき敵はいないが名告りを上げよう。
「ヴォルケンリッターが将。『剣の騎士』シグナム」
カートリッジによって上乗せされた魔力が、シグナムの魔力変換資質によって姿を変え、レヴァンティンへと炎の蛇となって纏わり付いた。
レヴァンティンを湖へ突き立てるように構えたまま、腰まで水に浸かったシグナム副隊長の姿は陽炎のように揺らめいている。湖面からはもうもうと水蒸気が立ち昇り霧となって、周辺を覆い尽くしていた。なのはさんとフェイトさんが不測の事態が発生した場合に備え、数メートル離れた場所でそれぞれ待機している。
それにしても……暑い。結界内の温度は発動させた時の外気温に従う。だと、言うのに。暑いを通り越して熱い。すでに真夏の温度ではない。悔しいことに、今回出番はないあたし達に出
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