第十話 〜アスナが地球へ行くお話 後編【暁 Ver】
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って挨拶もしたじゃない。憶えてないの?」
「……金髪のねーちゃん」
「フェイトだって金髪じゃない」
「……フェイトは金髪で赤」
「は?」
「アリサちゃん、目じゃないかな」
「あんた、いつもそんな感じで憶えてるの?」
アスナは人の顔を覚えるのが酷く苦手であった。数年前まで家族以外を、路傍の石としか見ていなかったことによる弊害なのか知れない。
「まぁ、いいわ。それにしても凄いじゃない。黙って見てたのは悪いけど。イメージトレーニングってヤツ?」
「うん、それにとっても綺麗だった」
「……まぁな」
「おもしろいな、こいつ」
何やら楽しげな話し声が聞こえて目を覚すと──── 珍しい光景を見た。アスナが、昨日会ったばかりの人間と話している。雪でも降るのだろうか。いや、そう言う話しだったか。本来の目的は昨日のうちに終わらせている。思っていた以上に簡単な任務だった。切り札を見せる必要もなかったし。むしろ本番はこれからだ。
本当は今日が帰投予定。それを八神部隊長が二日間の滞在延長申請を出した。つまり……たった二日で雪を降らさなければならない。『魔法』で。八神部隊長が魔法に拘るのも何となくわかる。それは、今のエリオとキャロを見ていればよく理解出来るからだ。兄さんに教えて貰いながら、初めて魔法を使った時の気持ち。あたしも久しく忘れていた。
「あら、珍しく早起きね」
スバルが顎を摩りながら起き出してきた。
「……なんか酷い目に遭ったような気がする。夢の中で」
偶然だ。あたしもそんな夢を見たような気がする。よく思い出せないまま、アスナの顔を見つめた。なんだか、腹が立ってきた。理由はよくわからないけど。
「……フェイトの頭には、たまにお花がさくな?」
皆で朝食を摂っている時に何の脈絡もなくアスナが失礼なことを言った。言われたフェイトさんは自分の頭に両手をぺたりと乗せ、なのはさんへと視線を向ける。『自分のことを棚に上げる』を体現しているようなアスナではあったが、本人は全く気付いてもいないし、気にしてもいない。
「私の頭にお花なんか咲いてないよね?」
「うん……そうだね」
「なのは? 私の目を見て」
「いや、あのな? それを他の人に聞いとる時点で十分……まぁ、ええわ。何の話をしとったんやっけ」
「エリオとキャロに自然保護隊の話を聞いていたんですよ」
「あぁ、そやった。流石ティアナや」
何が流石なのかさっぱりわからないが、他意はないはずだ多分。食事をしながら御互いに意見を出し合っていたが、これと言った案が出ることはなかった。そんな時に、藁にもすがる思いでエリオと
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