第十話 〜アスナが地球へ行くお話 後編【暁 Ver】
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美味しいと思っていることは伝わったようだった。
「くく……頭に……蛙……ひヒ……感想…最後まで言って……くヒ」
隣を見ればフェイトさんが、何かしらのツボに入ったらしく笑いを噛み殺していた。最近気が付いたが、フェイトさんの笑いのツボは他の人と違って斜め上か、斜め下にあるらしく、どちらにしても斜めであることには変わりはなかった。それに加え、怒りと笑いの違いはあるが、ヴィータ副隊長と同じくらいに沸点が低い。アスナの『布団が吹っ飛んだ』で笑った時は驚愕すると同時に、アスナの満足げな顔が忘れられない。
「フェイトちゃんは放っておくとして。……みんな食べ終わってからでええねんけど。ちと話があるんや」
夜の帳が落ちた湖は、昼間とは違った顔を見せている。空を見上げれば、月と星。淡い灯火のような月光と。蛍のような儚げな星の光を湖面は静かに受け止めていた。高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。そして八神はやては、そんな夜のしじまに溶け込むような湖を見ていた。
実は、本来の目的はすでに終わっていた。発見されたロストロギアは、新人組だけで危なげなく封印。六課に配属されてから初めての実戦らしき実戦ではあったが、司令塔のティアナが中心となり、日々熟している訓練の成果が出たのか拍子抜けするほどあっさりと、片が付いてしまったのだった。
三人以外のメンバーは、さほどかいてもいない汗を流すべく銭湯へ進行中である。コテージに入浴設備がないのと、管理局への報告及び事後処理の為に三人が残った。……建前上は。
「最初はな? 氷結の息吹を使おう思うたんよ」
「はやて……」
フェイトは呆れたように呟き、なのはは透かさず疑問点を口にする。
「あれって広い範囲を凍結させるだけでしょ? それにユニゾンしてなきゃダメじゃなかった?」
「ダメってわけやないけど……調整は、リインもおるしな」
「違うよ、はやて。調整云々じゃなくて、ここじゃそんな広域を凍結させるような魔法は使えないよ。仮に使えたとしても、ダイヤモンドダストは発生するけど……」
「雪じゃないね……」
「ティアナと同じこと言わんといて……」
はやては、疲れたようにテラスのテーブルへと突っ伏した。昼間、フェイトと同じような指摘をティアナから受けた為だ。確かに急激に温度が下がれば、空気中の水分が凍り付くことにより『ダイヤモンドダスト』と呼ばれる現象が発生する。だが、それは雪かと問われれば、否だろう。
「はやて、いつまで拗ねてるの」
「わたし達も考えるから、ね」
「……二人は初めて魔法を使うた時のことを憶えとる?」
突っ伏したままの
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