25話
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ラム缶を思いっきり殴り飛ばしたのだ。
殴られたドラム缶は宙を舞い、横の壁まで吹き飛び壁にぶつかった衝撃でドラマ缶が凄い音がしてへこんだ。
「上等だ!気に入ったぜ。まさか奴以外にこの俺様にタイマンを挑む大馬鹿野郎がいるとはな。お前ら手を出すなよ。俺とこいつのタイマンだ。サーベルバイパーのヘッド、ヴァルド・ヴァレスの鬼砕き、凌げるもんなら凌いでみやがれ!」
ステージから飛び降りたヴァルドはそのままの勢いでロイドに殴りかかる。ロイドもトンファーで防ごうとするが上段からの勢いのある木刀の重い一撃をまともに受け止めきれずトンファーごと殴り倒されてしまう。
しかしすぐさま飛び退いて追撃を避けるとヴァルドが飛びのいたロイドを追い詰めてくる。
ヴァルドは決して手数が多いわけではない。恵まれた体格から繰り出される一撃一撃が荒々しく力任せながら重く確実に当ててくるだけ。しかしそれは大振りでありながら木刀に巻きついる鎖が鍔迫り合いになればガリガリとトンファーを削り、ただ振り回しているように見えて当たる瞬間に回転させて威力を上げている。
対してロイドは直撃こそ貰わないように確実に防御していくが一撃貰うたびに両腕を使って吹き飛びそうになるのを防いでいることから確実に両腕にダメージは蓄積し体全体に疲労を与えていく。
「あれだけデカイこと言ってたわりにはその程度か!」「ヴァルドさんやっちまえ!」
ロイドとヴァルドをバイパーたちが囲み騒ぎ立て、エリィたちもその端で対決を見守るが、ランディは手こそ出していないが囲むバイパーたちに移動方向が誘導されていると見抜いていた。
「やばいぞ」
お互いに息も切れない互角の戦いを繰り広げているが、ロイドは確実に追い詰められていた。
「火達磨になって帰りな!」
ライブハウスの一番奥にあったステージ前から防戦一方で徐々に後退して燃えている出入り口まで追い詰められていたのだ。
まだまだ防御するだけならばいくらでも防ぎきれる自信はある。警察学校時代のダグラス教官はヴァルドよりもさらに体格が大きく一撃はさらに鋭く強かった。多人数相手に実戦演習をやったこともある。それに比べれば勝てずとも負けない自信はある。
しかしバイパーに囲まれ退路を誘導されて燃えている出入り口まで追い詰められたこの状況ではもはや防ぐだけでは火の中に叩き込まれてやられるだけだ。
だがロイドはこちらから攻めることを恐れていた。ヴァルドは長い抗争に身を置き豊富な実戦経験を持つはずなのに反撃しようと思えば出来る隙が一撃一撃に混ざるようになっていたからだ。
必ずこちらから仕掛ければ対応する策があるに違いない。
その可能性を頭に入れながらこのままでは火に追い込まれることを防ぐために突っ込むしかなかった。
ヴァルドの一撃を左手のトンファーで防ぐ
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