第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サスケ
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ちら?
――確かめるまでもないですね
ヨロイに近寄る。確かめるまでもないだろうが、それでも一応形式的には確認する必要がある。視界の隅でサスケがよろよろと立ち上がった。皆が固唾を呑んでこちらを見つめている。一方大蛇丸は、自分の想像を超越するサスケの強さに恍惚となり、熱っぽい視線でまるでサスケを貪るかのように眺めている。
「――これ以上の試合は私がとめます。よって、第一回戦勝者、うちはサスケ。予選通過です」
「――やったああ!!」
ナルトとサクラの顔がぱあああっと輝き、ナルトが歓声を上げる。ヒルマは医療班を呼ぶ紐を引っ張ると、倒れたヨロイに歩み寄り、親指を噛み切って医療道具を一式口寄せする。担架を広げてヨロイをその上に乗せ、サングラスと口元を覆う布を剥ぎ取る。片手をヨロイの腹に乗せてチャクラで医療を開始しつつ、到着した医療班にヨロイを預けた。
「あとはサスケくんですが……」
ヒルマが振り返った背後で、サスケが仰向けに倒れ掛かる。一瞬慌てたが、その体をサスケの背後に現れたカカシがその体を支えた。
「ま! よくやったな」
素直に賛辞を述べるカカシに、サスケが不敵な笑みを浮かべて見せた。とは言え、呼吸はまだまだ荒い。さっさと治療しなければと近づいてきたヒルマに笑いかける。
「ああ、サスケはこっちに任せてください」
「……何言ってるんですか。先ずは治療してからですよ」
カカシを軽くねめつけて、ヒルマはサスケの体にもチャクラを通していく。その体の擦り傷が回復し始めた。
「呪印の封印……あれ、結構体力消耗するんですけど。怪我人に試合終了早々やるのかと思うと気が引けますが、本人が試合参加を固持した結果なので自業自得かもしれませんね。ああ、あまり時間はかからないはずですよね、ならわたくしもご一緒しましょうか?」
「いや、その必要はないよ……ヒルマには他の受験生の世話も見なきゃならないだろ? ヒルマは若くても一応この中忍試験では医療班の指揮を担っているわけだしね。……ま、もしヒルマがもっと柔拳を使えたらとっくに上忍に昇進していると思うんだけどねえ」
手ひどいですねえ、とヒルマはむっと顔を顰めた。
「わたくしは、日向の能力は医療にしか使わないって決めてるんです。医療に柔拳なんていりません。白眼と点穴をコントロールする能力さえあれば十分なんです!」
「まあそんなムキにならなくても……君がアンコを守りたいって気持ちはわかるけどね」
「それだけじゃないんです。わたくしは……綱手さまたちのようになりたい」
カカシはヒルマが飲み込んだ名前を知っている。カカシはかなり前からヒルマと交流があった。というのもヒルマは、以前カカシと同班だった、今は亡き優秀な医療忍者――リンに憧れていたからだ。それは
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