第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サスケ
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。痛みに目を瞑ってしまうと、“現実”から全てが消えていったような気がした。世界も。音も。臭いも。ただ舌に鉄みたいな血の味と、肌を駆け巡る呪印の感覚だけが残る。
そして現実から引き離されたサスケの脳裏に、サクラやナルトの姿が浮ぶ。
――お願い。お願いだから、……やめて――
このような悪熱とは全く違う、人肌の暖かさ。発育途上のサクラの体には脂肪も付き始めて、その感触は男の自分と比べるとずっと柔らかい。嗚咽混じりの声が鼓膜を震わせ、ぎゅっと抱きしめてくる腕はか弱く震えているけれど、それでもとても暖かかった。
――てっめー、サスケェエ! ダッセー姿見せてんじゃねェエ!――
前はドベだの落ち零れだの見下していた彼を認めはじめたのはいつからだろう。サスケの反撃の切っ掛けになったのがその声であったことだけは確かな事実だ。もしナルトがそのような声を出さなければサスケが振り返ってリーを見ることにはならなかっただろうし、それにナルトの言葉が自分を随分と励ましてくれたこともまた事実。
――あいつらに心配されるとはな……!
前までずっと見下していた二人に心配されるとは自分も随分と落ちぶれたもんだと、サスケは自嘲気味に笑う。これ以上やつらに俺を心配させてたまるかと、思いつつサスケは軽く息を吸う。
――ここまでか……
カカシはそんなサスケを見据え、試合を止めさせる準備に入った――しかし。
――こんなのにっ……飲み込まれて、溜まるか!!
うちはイタチ。大蛇丸。うずまきナルト。はたけカカシ。春野サクラ。――そしてうちはサスケ。それらの名前を連ねる。
サスケの心の中に燃えていた意志の炎に息を吹きかけて、更に燃え上がらせる。そしてその意志の炎の力に追われていくかのように、地虫のようにはっていた呪印がサスケの首の付け根へと逆流する。
――呪印が引いた……!?
アンコが驚きを顕にしてそんなサスケを見上げる。先ほどのこと、時間にしてみればたったの数秒。自分の真上を飛ぶヨロイの存在を急速に思い出し、サスケは笑みを浮かべた。
「行くぜ」
片手でその服を掴み、足を回転させてヨロイの胴体に蹴りを食らわそうとする。しかしそれはギリギリヨロイの左腕によって防がれた。
「甘いな……!」
サスケは答えず空中で回転し、右手の拳をその首に叩き込む。ヨロイもろとも落下しながら更にその腹にも拳を叩き込む。
「まだまだ!」
床は間際。素早く回転して、先ほどヨロイが拳を受けた、丁度その部位に蹴りを入れた。
「獅子連弾!!」
ヨロイの体が蹴りと共に勢いよく地面に激突する。ヨロイが血を吹く。サスケもその反動で地面を転がった。ハヤテの目が素早く二人を見比べる。再び起き上がれるのは。倒れたまま動けなくなってしまうのは――ど
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