第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サスケ
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る暇なんかないだろ?」
手にチャクラを宿したヨロイが再びこちらに走ってくる。しかしサスケが彼を見据える目は、焦りと苛立ちの入り混じったような目付きではない。あくまで冷静沈着に、そして余裕に満ちた目つきだ。
「これで最後だ!」
走ってくるヨロイに向かって身構える。全身の神経を研ぎ澄ませ、集中力を高める。これは賭けでしかない。写輪眼のコピー能力なんて使うのはこれが始めてだ。それでもサスケは躊躇わない。もうこれしかないんだ。それにサスケの中には、きっと自分には出来るだろうという、何の根拠もない、得体の知れない自信に満ちていた。
――これまでですかね
自信に満ちた目つきをしていたサスケだが、しかし今はまだヨロイの攻撃を避けてばかりである。ハヤテがまたもやこの試合に対する興味を失いかけたその瞬間、サスケの口元に、不敵な笑みが浮んだ。
「消えたッ!?」
「――!!」
いきなり消えたサスケの姿にヨロイがあたりを見回し、サスケがどこにいるのかに気付いたハヤテや大蛇丸たちは驚きに目を見開いた。リーの目が驚愕の色に染まる。
チャクラをためた足でヨロイの足元に高速で移動し、その腹を下から思い切り蹴り上げる。ヨロイの口から吐かれた血が紅い蝶々のように宙を舞う。
――あれは僕の!
――何!?
その技をよく知っているガイ、ネジ、テンテンも目を見開く。あの技はガイがリーに伝授したものだし、組み手でしばしば一緒になっているネジとテンテンも、あの技は一度ならず見たことがある。
跳ね上げられたヨロイの後を追ってその下方すれすれを飛ぶ。彼はまるでリーたち三班の思いを読み取ったかのように、言った。
「もっとも、ここから先は俺のオリジナルだけどな」
試験前リーと戦った時には、リーの技は禁じ手とされ、最後までやり終わる前にガイとその忍亀に阻止されて止められてしまった。だからこれからは、死の森にいた五日間習得した技でこいつをしとめてやる。
サクラは再び視線をサスケに戻した。悲しみと不安を浮かべていた緑色の瞳に驚きにも期待にも似た色が浮かび上がる。
サスケは人差し指と中指を立てて、ヨロイの腰につきつけた。
「終わりだ!」
「っか、影舞葉だと……!?」
「――食らえ」
サスケが静かにそう言った瞬間、首の付け根を痛みが襲った。呪印が赤く爛れたような色合いを発し、地虫のようにそこから這い出そうとする。体は悪熱を帯び、手足が痙攣する。げほ、と咳をすれば、口から吐かれた血がてかてかと眼の前の空を飛ぶ。
「っちくしょお……! 一々邪魔をしやがって!」
言った瞬間、サスケは地虫のように這うそれらがサスケの眼球にまで這い出したことに気付いた。驚くほど素早い動きで、呪印が悪熱をもってサスケの体を駆け巡る
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