第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ヒルゼン
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するナルトに、カブトはキバとマナに視線を馳せてから、「実はこんなこといいたくないんだけどね」と殊更申し訳なさそうな声で言った。
「実は、第一の試験の前に、音の奴等と揉めた時から、左の耳が全く聞えないんだ。とても今すぐ戦うなんて……。それも、命がけって言われちゃあ、僕にはもう……」
自分たちを庇ったときのことだ、と気付いたキバは罰の悪そうな顔をして俯いた。マナも申し訳なさそうな顔になり、二人して謝罪の言葉を小さく呟くと、「いいんだよ別に」とカブトの声が返って来る。そしてカブトは周囲にはとても聞えない低い声で同じマンセルのヨロイと二言三言言葉を交わしたかと思いきや、ナルト達ににこやかに手を振って会場を後にした。
「けほっ、えーでは、辞退者はもう、いませんね」
ハヤテの言葉に、サクラが慌てて手を挙げようとするも、サスケは素早くそれを押さえ込んだ。サスケの目的は中忍になることでもなんでもない。彼は復讐者だ。彼が知りたいのは、自分が強いのか強くないのか、それだけ。強い敵が、何人もここに残った二十四人の中にいる。
砂漠の我愛羅、木ノ葉の日向ネジにロック・リー、そして音のドス・キヌタ。音も立てずに自分の傍に現れていた我愛羅、自分を閃光のような体術で叩きのめしたロック・リー、そしてそのリーに木ノ葉の下忍最強と言わせしめた日向ネジ。それから見切って避けたはずのカブトを吐かせた、音を操るドス・キヌタ。戦って価値ある者ばかりだ。同期たちも前よりずっと進歩しているかもしれない。いずれにせよ、サスケは辞退する気などない。例え相手がサクラでも、もし自分から復讐の道を奪うようなことなら許しはしないと、サスケは今一度サクラに向かって宣言した。
七班内でこのようなトラブルが起きている中、火影とアンコの間にもひと悶着あった。火影はサスケを続けて試験に参加させてみて、もし力が暴走したらただちに止めろとの意見だがアンコは納得していない。呪印のことを一番よく知っているのは自分だ。下手したらサスケだってユヅルのような昏睡状態に陥ってしまうかもしれない。
「ですがっ、火影さま……!」
「アンコさん、火影さまの聡明なご決断に何か意見があるとでもです?」
ジト目で割り込んできたユナトの白腕に、目に見えるくらいの膨大なチャクラが貯められ始めているのを見ると流石に「オオアリです」とは言えない。言ったらたぶんこの会場が壊滅するくらいのフルパワーでユナトと一騎打ちをしなきゃいけないことくらいはそのチャクラ同様目に見えている。
だからユナトは苦手なのよ、とアンコは心中呟いた。まあまあ、と三代目が宥めればころっと笑顔をみせている。猫かぶりじゃなく単なるブラコンならぬジジコンなんだからおそろしい。
「ザク・アブミ君ですよね? わたくしは医療班代表日向ヒルマ――
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