第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ヒルゼン
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くされています。……ああ、えー、いい忘れていましたが、これからは個人戦ですからね。自分自身の判断で、ご自由に手をあげて辞退してください」
「ゆ、ユヅルが!?」
「ええ……塔についてもう二日ですが、未だに昏睡状態が続いております」
ナルトが目を見開き、どうりでいなかったのねーといのが口を覆う。
――痛みの波が、どんどん短くなってきた……!
同じく呪印をつけられたユヅルのことを思い出したからだろうか、首の付け根を針で刺してくるような痛みが襲う。ぎゅっとそこを握って、せめて気持ちだけでもその痛みを和らげようとしていると、サスケくん、とサクラが心配げな声を出した。
その光景を見たアンコは唇を噛み締める。あの呪印はチャクラを使用するだけでも反応して、無理矢理に力を引き出そうとするような代物だ。本来ならとっくに死んでいても何らおかしくはない。犬神の精神力を持つユヅルでさえ昏睡状態に陥っているのに彼が未だ耐えているのは、本当に不思議なことだった。
「――サスケくんがなんと言おうと、私、痣のこと先生たちに言うわ。そうすれば……!」
痣――サスケの呪印に対する不安と恐怖に浮んでいた涙を拭って、サクラは真っ直ぐにサスケを見つめ返す。予選に何がなんでも出ようと意地を張っているサスケをなんとか休ませるにはもう強行手段しかない。サクラは手を挙げようとした。
「ほう……」
しかしそれよりも先に、カブトが手を挙げた。火影の興味深そうな視線が、中忍試験に今回で七回出場となる青年に向けられる。出鼻を挫かれたように、サクラは咄嗟に手を下ろしてカブトを振り返った。
「あの、僕はやめときます」
明るい笑顔で言い放つ彼に、「か、カブトさん……?」とナルトが目を丸くする。
「えーっと……? けほ、――木ノ葉の、薬師カブトくんですね……?」
ハヤテが手にしていたボードを持ち上げ、その上に留められた紙を捲り確認をとる。
「……では、下がっていいですよ」
「はい」
「――カブトさん!? なんで、やめちゃうの、ねえ! なんでだってばよ!?」
笑顔を崩さぬままに去ろうとするその後姿にナルトが声を張り上げる。マナとキバが音忍に襲われそうになった時は身を挺して守ってくれ、サクラと巻き物を開きそうになってしまった時には制止してくれ、塔に到着するまでの間行動を共にし、幻術使いのマンセルに遭遇したときは一緒に戦ってくれたカブトを、ナルトは心から尊敬していたし、サクラもナルトもカブトに対してかなりの好感を持っていた。キバも同調して叫ぶ。
「折角ここまで来たんじゃねーか!」
「すまない、ナルト君、それに――ええと、君はキバ君だったかな。けど、僕の体はもう、ぼろぼろなんだよ」
「でも……っ!」
尚も食い下がろうと
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