第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ユヅル
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してるからそこで赤丸ちゃんところいってもいいと思うけどね」
その言葉を聞いて安心したのかはじめは喉を震わせるように長い溜息を吐くと、マナやユヅルたちと同じにばったりと倒れこんだ。紅丸が目を瞑って丸くなる。仕方ないです、と溜息をついてユナトは、部屋の一角にかけられてあった鈴を鳴らして医療班を呼ぶことにした。
+
「火影さま」
サバイバル開始四日目、突如として入って来たヒルマとユナトの姿に火影はなんじゃ、と問いかけた。
「アンコ姉さま――失礼、アンコさんに用があって参りました。少しお時間いただけますか」
アンコ姉さま、というヒルマの声は敬意に満ちていた。ヒルマは幼い頃から自分と一緒に遊んでくれたり、面倒を見てくれたアンコのことを実の姉のように慕っているのだ。ユナトもヒルマの背後で「お邪魔するです」と笑い、ドアを閉じる。
「今回の中忍試験参加者、火の国木ノ葉隠れの里、シソ・ハッカ率いる第九班の構成員いとめユヅルの首の付け根に呪印がつけられておりまして。ユナトさんがアンコねえ、いえ、アンコさんの呪印を見たいとおっしゃっているのですが、」
「そのこと自体は構わないけど……いとめユヅルに? 大蛇丸はうちはサスケに呪印をつけたと言っていたはず……!」
思わず立ち上がりかけるアンコの手は呪印に置かれている。まだ痛むらしい。アンコは信じられないような面持ちで、ジジイにしかデレないジジデレ女とその傍に立つ、犬神の犠牲になった女の子を見た。
「ええ。……やはり、違っていますね。アンコ姉さまのは黒なのに、あの子のは灰色だ。いとめユヅルのはさして力を持っているわけではなさそうですね。けれど確かに体力を削られています。顔は土気色だし、唇は黒くなっているんです。熱も出ていないのに、ひどく具合が悪そうで」
「力を持っているわけではない呪印……でもそれでもきっといとめユヅルを殺すには十分なのかもしれないわね。……でもどうしていとめユヅルを――?」
その狙いが犬神であるとしても、ユヅルが死ねば犬神は他者の体に憑依するし、それにそもそも笑尾喇をつくったのは大蛇丸だ。アンコは元師匠であった大蛇丸がそれをつくっていたことを知っているし、その力を最初に試されることになったのがヒルマの母だったことも。
そしてヒルマの母は殺されて、大蛇丸に使い捨てにされたアンコはヒルマと共に木ノ葉に保護された。幼いヒルマは大蛇丸のことは覚えていなかったけれど、憎悪と絶望に狂って世界を呪った犬神に白い瞳の母親が殺されることだけは鮮明に覚えていたらしい。
呪印はよほど精神力が強い者で限りとても負荷できるものではなく、最悪の場合そのまま死んでしまう。アンコは呪印を与えられて尚生き残った数少ない人間だ。
自分はあの時高熱を出して苦しんでいたの
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