第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サスケ
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ければ骨折だろう。どちらにせよザクはもう戦えない。
「残るはお前だけだな」
倒れているキンや痛みに気絶したザクには目もくれず、サスケはドスを振り返った。ひどく歪んだ、残酷な微笑だった。
「……お前はもっと愉しませてくれよ」
ドスの体が小刻みに震える。全身の血を凍らす戦慄に、ドスは恐怖に目を見開く。
――こんなの……
すたすたとサスケは進んでいく。そのおぞましい姿は自分の知っていたあのサスケとは程遠い。
――こんなの……!
照れているサスケ、笑っているサスケ、「うざいよ」とサクラに言って来たサスケ、傷だらけになったサスケ、自分を必死で救ってくれたサスケ。思い浮かぶサスケのどれにも彼の姿は当てはまらない。
――サスケくんじゃない!
大蛇丸が前に増して憎い。サスケくんをこんなに苦しめて、サスケくんに呪印をつけて、そしてサスケくんさえも変えてしまった。ねえサスケくんが貴方に何したっていうの。
涙が頬を伝った。ゆっくりとドスへ向かっていくサスケの後姿に、サクラは必死で飛びついた。
「やめてぇ!」
サスケをぎゅっと抱きしめて、「やめて」、ともう一度繰り返した。サスケが振り返る。鮮血の色の写輪眼の鋭い視線と自分の視線がぶつかる。涙はとめどなく溢れていたけれども、それでもサクラは必死にサスケを見返した。サスケを抱く腕は震えていても、でも彼を放したりはしない。お願い、とサクラは懇願する。
「やめて」
そして、サスケの肌を這っていた呪印が赤く燃え上がって、ずるずるとサスケの首の付け根へ戻っていく。写輪眼も解かれ、そしてそれと共に力を失ったのか、がくんとサスケは尻餅をついた。荒い息をつくサスケの傍にしゃがみ、「サスケくん?」とサクラはその顔を覗き込み、その背に手を置く。
「――君は強い」
そしてドスが差し出してきたのは地の巻き物だ。
「サスケくん。今の君は、僕達では到底倒せない。――これは手打ち料。……ここから、引かせてください。……虫が良すぎるようですが、僕達にも調べることが出来ました」
ドスは巻き物を地面に置き、気絶したザクの腕を自分の肩に回して支える。そして左腕でキンを抱えあげると、彼は言った。
「その代わり、約束しましょう。――今回の試験で次に貴方と戦う機会があれば、僕達は逃げも隠れもしない」
去っていくドスをサクラは呼び止め、大蛇丸とは何なのか、サスケに何をしたのか、何故サスケなのかを問いかけたが、しかしドスの答えは彼にもわからない、ということだけだ。
サスケの体が震えている。手を握ることすら出来ないくらいに震えていた。先ほどの正気を失っていた自分に、自分でも驚いているようだ。
「あのねサスケくん」
宥めるようにその背に手
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