第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サスケ
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うやらその必要はないようだ」
ドスの言葉に、ネジは余裕しゃくしゃくと言わんばかりの笑みを歪めた口元に横たえる。
ドスは逃げるつもりですか、と言葉を発しかけて口を噤んだ。視線の先、横たわるサスケの体から深い紫の禍々しいチャクラがあふれ出していた。――呪印だ、と彼は瞬時に悟る。
天に向かって伸びる紫のチャクラを纏って、サスケが立ち上がった。
「サスケくん! 目が覚めたの、――っ!?」
明るい声で振り返ったサクラの顔が凍りつく。禍々しいチャクラを纏ったサスケの肌は影に覆われよく見えないものの、僅かに見える肌は赤く爛れて見える。一歩踏み出して、サスケは魂を震わせる声で言った。
「サクラ」
呼ばれたその名と共にチャクラが僅かながら収まり、サスケの全体がよく見えるようになった。赤く爛れているように見えたのは、赤く燃えながら地虫のようにサスケの左半身の皮膚を這っていた呪印だ。動きを止めた呪印は黒く変色して皮膚にへばり付いている。開かれた瞳は鮮血の写輪眼で、サクラにはまるで、サスケが何かの悪霊に取り付かれてしまったように思われた。
「……お前をそんなにした奴は、誰だ……?」
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サクラは答えるよりも先に、サスケの体に目が行っていた。
「サスケくん、その体……!」
言われたサスケは左手を持ち上げて、そしてその手を這う呪印を暫し写輪眼で眺めていた。そしてサスケはなんでもないことのように、「心配ない」と言った。
「それどころか、力がどんどん溢れてくる。――今は気分がいい」
その拳が握り締められた。その顔に僅かながら喜悦に近い何かが浮ぶ。あいつがくれたんだ、とサスケは言った。あいつ、という言葉が指す人を脳裏に思い浮かべて、サクラは「え?」と目を見開く。
「俺はようやく理解した。俺は復讐者だ。例え悪魔に身を委ねようとも、力を手に入れなきゃいけない道にいる」
サクラは恐ろしかった。サスケがサスケじゃなくなる気がしたのだ。自分の好きなサスケが、自分から遠のいていく気がした。そしてサスケは本当に大蛇丸という悪霊につかれて、道を踏み外しかけているんではないかと、そう思った。
「――サクラ、言え! お前を傷付けたのはどいつだ!」
サクラは言ってはいけないようが気がした。あんなに自分やリー、はじめにマナ、それにいのを傷付けてきた奴だとしても、それでも口にはできなかった。それほどにサスケが纏うチャクラは禍々しかったのだ。
「俺だよ!」
しかしサクラの代わりに、ザクが自ら名乗り出る。サスケの写輪眼が激しい殺気を以ってザクを睨みつけた。その瞳に宿るのはネジの冷たい怒りとは異なり、激しく燃え上がるような怒りだ。それでも臆せずにザクは余裕の笑みを見せる。
「いのー!
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