第四十六話 秋のプールその五
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だが中等部に裏の抜け道の様なフェンスの穴を潜って中に入ってからだ、茉莉也は二人に少し真面目な顔になってこう言ったのだった。
「夜のプールだけれどね」
「何かあるんですか?そこに」
「危ないとかですか?」
「危ないわよ」
聖花の言葉に応えたのだった。
「実際にね」
「危ないっていうとあれですね」
聖花は茉莉也の返答に真剣な顔になりそれでこうも言った。
「落ちたら」
「そう、見えない分夜の方が危ないから」
プールもまたそうであるというのだ。
「落ちたらお昼より危ないわよ」
「それに私達今制服ですからね」
今度は愛実が言う、自分達のそれぞれの制服を見ての言葉だ。
「余計に」
「服はお水吸うと重くなるから」
だから水着があるのだ、水に入っても大丈夫な様にだ。ただアイドルのグラビアの為だけのものではないのだ。
「余計に危ないわよ」
「だからプールサイドではですね」
「注意しないといけないんですね」
「私も注意するから」
茉莉也自身もだというのだ。
「さもないと下手をしたら」
「溺れるんですね」
「そうして」
「そうよ、三人いてもね」
それでも注意しろというのだ。
「溺れなくても濡れるでしょ」
「はい、確かに」
「制服もその下の下着も」
濡れてしまう、それはどうしても避けたいというのだ。
「びしょ濡れになりますからね」
「そうなったら風邪ひきますよ」
「風邪は万病の元よ」
茉莉也はこのことを強く忠告した。
「そこから色々と病気になるからね」
「余計に注意が必要ですね」
「そうですよね」
「そうよ、風邪はひかないことよ」
まずはそれが大事だというのだ。
「その為にもね」
「今は気をつけて、ですね」
「プールの中は気をつけて」
「そうよ、まあとにかくね」
こうした注意をしてからだ、茉莉也は二人にあらためて話した。今度の話はというと。
「中等部のプールも出るからね」
「河童さんですか?」
「それともキジムナーさんですか?」
「ああ、両方いるけれどね」
彼等もいるというのだ、だが彼等だけではないというのだ。
「他にもいるから」
「ニューフェイスですか」
「その妖怪さんもおられるんですか」
「ええ、そうよ」
その通りだというのだ。
「まあ知ってる妖怪さんかも知れないけれど」
「私達もですか」
「知ってる妖怪さんですか」
「そう、半魚人っていってね」
これがその妖怪の名前だというのだ。
「知ってるわよね」
「ハリウッドですか?」
「そっちの系列ですね」
「そうよ、この学園海外から来た妖怪さんもいるから」
それでだというのだ。
「その人もいるのよ」
「何かそういう妖怪さんもいるなんて」
「本当に色々な人がいる学園ですね
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