第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サクラ
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いじゃない……!
いつだってそうだった。落ち零れと言われるナルトでさえ自分より頑張っているし、波の国でも、大蛇丸との戦いでもナルトとサスケは各々自分の全力を尽くして戦っていた。
――いつだって守られてるだけ。……悔しい……!
ナルト、サスケ、リー、はじめ。死の森で一体何人の人に助けられたことだろう。
――今度こそは、って、思ってた
自分をいつも守ってくれたナルトやサスケが倒れて弱っている時、今こそ自分が二人を守らなければとそう思っていたのに。結局リーに助けられてはじめにも助けられて、それなのに今はまた、サスケとマナが死ぬのを看ていることしかできない。
――今度こそ、大切な人達を……私が守らなきゃ、って
拳を握り締める。「じゃ、やるか」と残酷な笑みを浮かべて、ザクがサスケのところへと近づいていった。マナが足をばたばたさせてもがき、紅丸がドスの足に噛み付いている。サスケは相変らず苦しそうだ。
マナの目と一瞬視線が会った。彼女もまた悔しそうに顔を歪めている。足をばたばたさせたって何の意味もないと、きっと彼女だってわかっているはずなのに、彼女は抵抗し続けた。
サスケを守らなければ。ナルトを守らなければ。マナを守らなければ。
――今度こそ、私が皆を守らなきゃ!
ホルスターからクナイを抜き取って、構える。その動作に気付いたキンが冷たく言い放った。
「無駄よ。あたしにそんなものは効かない」
「何を言ってるの」
サクラは不敵な表情で振り返った。絶対に負けられない――いや、負けない。皆は絶対自分が守る。
「――何ッ!?」
そしてサクラは、その場にいた全員――叢の中で様子を伺っていた十班も含む――の驚愕の視線を受けながら、クナイで桜色の髪を断ち切った。
それはかつて、サスケが長髪の子が好みと聞いて、いのと共に長い時間をかけて伸ばしていた髪だ。切られた髪に沿うようにして、額あてが地面に落ちていく。
――私はいつも、一人前の忍者のつもりでいて。サスケくんのこと、いつも好きだといっといて。ナルトに、いつも偉そうに説教しといて。……私はただ、いつも二人の後姿を見てただけ。それなのに、二人はいつも、私を庇って戦っててくれた
――リーさんも……はじめも。二人とも必死で戦ってくれた。私なんかの為に
――リーさん。貴方は私のこと好きだと言って、私の為に、命がけで戦ってくれた。貴方に、教えてもらった気がするの
――私も、貴方たちみたいになりたい
立ち上がる。桜色の髪が舞い散る桜の花びらのように空を舞う。かちゃんと音をたてて、額当てが地面にぶつかった。
――皆、今度は……
拳を握り締める。
――私の後姿を、しっかり見ててください!!
「キン、やれぇ!」
印を高速で組み
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