フレデリックとヤンデリカ
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
アン。
そして控室でぐったり倒れるナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピー。
「オイ・・・いい加減報酬よこせや」
「1日3公演はキチすぎんぞ・・・」
あのナツとグレイでさえ、体力の限界というようにバテている。
「グズがぁ!とっとと準備せんか!今日も始まるぜ!」
「キャラ変わってるし・・・」
「早く帰りたい・・・」
ルーシィも限界なのか涙を流す。
「あー、あー、あー」
そしてやっぱり発声練習するエルザ。
でもってティアはというと・・・。
「そ、そういやよォ、ティア・・・」
「お前、いつまで男装してるつもりなんだ?」
そう。
最初の公演で男姿になって以来、ティアはずっとその格好なのだ。
それを聞いたティアはキョトンとしたような表情になり、やがて笑い出す。
「あははははっ!き、気づいていないのか?お前達・・・」
「え?」
疲れているナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピー、発声練習をしていたエルザ、全員がティアの方を見る。
何とか笑い声を堪えながら、ティアは自分を指さし、口を開いた。
「俺は姉さんじゃなくて、クロスだ」
「「「・・・は?」」」
「「え?」」
突然の発言に言葉を失うナツ達。
ティア・・・ではなくクロスは、笑みを浮かべながら続ける。
「一週間前に姉さんから『趣味に没頭したいから私の代わりに仕事に行ってほしい』と頼まれてな。他ならぬ姉さんの頼みとあらばと引き受けたんだ。性別の方は姉さんの作った『性別逆転丸薬』で換えていたから解らなかっただろう?」
クスクスと微笑み、さらに続ける。
「実は時々姉さんと入れ替わる事はあってな。仕事先で敵の目を欺く為に俺が姉さんになって2人姉さんがいる様に見せた事もある。口調や癖も姉さんを見ていれば自然と覚えてしまうさ。もちろん、演技の方は姉さんだけでなく、俺も得意分野だからな。苦労はしていない」
さらっと言うクロスを見て、その場にいた全員は同時に叫んだ。
「「「「「ティアァァァァァァァァァァァァァァァッ!」」」」」
「っくしゅ!」
オニバスの街で名前を叫ばれてる事など知らないティアは、趣味のガラス細工に没頭していた。
耽美なゴシック調の部屋の机の上にはガラスで創られた薔薇がある。
「にしても、いい弟を持ったわ」
ティアは満足そうに呟くと、お礼にクロスが帰ってきたらその日の夕飯はクロスの好物にしよう、と考えるのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ