第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
笑尾喇
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「サスケくん、ねえ……! サスケくんってば」
つけられた“呪印”の痛みに失神したサスケを抱きしめて、思わず泣きそうになってしまう。泣きそうに歪むの頬に、そっとはじめの手が添えられた。
「落ち着け、サクラ」
その言葉はただサクラの涙を流させる切っ掛けになっただけに過ぎなかった。安堵と恐怖が綯い交ぜになって、つうっと涙が彼女の頬を伝う。彼女は目を瞑って、抱きしめているサスケの黒い髪に頭を埋めた。
「わたし……私、どうしたらいいの」
頼れるチームメイトが二人も倒れてしまって、サクラのような、チャクラコントロールと頭しか取り柄の無い少女が一体どうすればいいというのだろう。そんなサクラに、「大丈夫だ」とはじめが静かにいった。その顔は相変らず無表情だ。
「私達が、ついているから」
はじめなりの、精一杯の励ましだった。そうね、とサクラは儚く笑って、サスケを抱えあげる。マナが背伸びして、サクラの桜色の髪を撫でた。
「紅丸がいいとこ見つけたつってたから、そこ行こうぜ、サクラ」
「うん……二人とも、ありがとう」
マナもユヅルを抱え起こした。犬神の憤慨が、ユヅルの体を通して伝わってくる。
どうやらサスケの呪印とユヅルの呪印は似て非なるものであるらしい。サスケのが禍々しい黒であるのに対して、ユヅルのは灰色だ。効力の方はサスケのが上らしい、というのは多分間違っていない。元々大蛇丸の本命はサスケだ。ユヅルの方は、暴走しかける笑尾喇を抑止する為につけたに過ぎないのだから。
それでもユヅルの状態もよくはないのは、恐らく笑尾喇が関係している。憤慨する笑尾喇を、封印式と呪印の二つが邪魔しているのだ。笑尾喇は尚更ユヅルの体内で暴れ、呪印と封印式は尚更それを止めようと発動し、そして結果ユヅルの体にかけられる負荷も多くなっている、ということだ。
ナルトを背負ったはじめが行くぞ、と言う。サクラとマナは頷くと、紅丸を追って移動を開始した。
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大樹の根元、ちょうど何らかの戦闘かで根っこがもりあがってしまっているような場所で、マナやサクラ達は野宿を開始した。
怪我人三人を横たわらせ、念の為に火は焚かずにいる。はじめの水球の術で出した水で手拭いを濡らし、高熱を出し始めたサスケの額と、時たま体を痙攣させるユヅルの額に置く。しかし暫くして、痙攣するユヅルの額においても落ちるだけと察して、そちらはマナが団扇で仰いでやっていた。
横たわるチームメイトの姿を眺めて、サクラは拳を握り締める。マナ達は既に巻き物を得ていて、こちらは天の巻き物も地の巻き物もない。その上チームメイトたちは傷つき疲れきり、呪印にも苛まれてとても戦える状態ではない。マナ達がサクラを助ける義務なんてどこにもないのだから、もしユヅルが回復してからは
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