第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
笑尾喇
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比べたサスケの問いかけに、マナが笑いつつ返答する。ナルトが明るい声で礼を言い、ユヅルも穏やかに礼を言ってから、マナやはじめに笑顔を見せた。
「……よかったぁ……」
三人とも回復したことに、嬉しさのあまり思わず涙が出る。しかし直ぐに、ざわざわと茂みの揺れる音がしたような気がして振り返れば、そこには実物より数倍醜悪な大蛇丸が叢の中に立っていた。
「獲物というものは、常に気を張って逃げ惑うものよ……捕食者の前ではね!」
その首が、サスケやユヅルに呪印を施したときと同じように伸びて、蛇のようになって地を這い近づいてくる。サスケとナルト及び九班は今後のことについて語り合っており、大蛇丸に気付く様子もない。真っ直ぐサスケめがけて這ってくる蛇に、サクラは皆に注意を促がそうとする、が。
――声が出ない!
どんなに叫んでも彼等には届かない。その間にも大蛇丸は近づいてくる。お願い、気付いて、気付いて!
急に彼等が遠ざかっていくような気がした。叫ぶ。気付いて。大蛇丸よ。サスケくん! ナルト! マナ、はじめ、ユヅル! ねえ! 気付いて――お願い、気付いて!
体が金縛りにあったかのように動かない。大蛇丸がぱくんと口をあけた。
そしてその口はサスケを一思いに飲み込んでしまった。
「――!!」
頬が濡れる感覚に目を覚ませばそこは先ほどいたのと全く同じ場所で、紅丸が自分の頬を舐めていた。振り返れば三人とマナ、はじめはまだ眠っている。
「わん」
「夢、かぁ……」
紅丸の明るい声にほっとするのと同時に正夢ではないかという不安が過ぎる。ちゅんちゅん、という鳥の声と、明るくなってきた森を鑑みるに、もう朝であるらしい。先ほど眠ってしまったことに思い至り、その失態を恥じるのと同時に誰かもう一人起こさないと、と考える。まずはマナを起こしてみたが、こっちは中々起きなかった。諦めて一番手近にいたはじめの体を揺らすと、彼はあっさり体を起こす。
「もう朝……なのか?」
「……ええ」
「どうして起こさなかった」
些か不機嫌そうな声ではじめが聞く。ごめんなさい、と笑尾喇とのことも眠ってしまったことも口に出せずに俯くと、やはり不機嫌そうな声の彼は溜息をつく。
「……もっと頼って欲しかった」
「っえ? ……そ、そう?」
「私たちは仲間だから……助け合わなければ」
はじめは黙り込む。本当はそうじゃないのだ、仲間だからじゃない、好きだから頼って欲しいのだ。一文字はじめがどうして春野サクラを好きになったのかは、至って簡単だ。とりあえず一文字一族の男はこぞって女顔であり、そしてこぞって強気な女に目がないのだ。ついでに言えば一文字一族の女は皆かなり強気である。はじめの姉に瓜二つな母だって強気だったし、姉で
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