第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
笑尾喇
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いく。……我はお前と交渉しにきたのだよ、小娘
笑尾喇が扇子をサクラの顎の下に宛がい、上を向かせた。
――この封印術を解け。これは白い目の男が、大蛇丸の実験体の女の息子だった男が我につけたものだ。まあ、そうはいってもあの男は大蛇丸のことなぞ露ほども覚えておらんが。寧ろ我へ対する記憶の方が深いらしい。まあそれも当然だろう、あの男は使い捨てにされた哀れな小娘に助け出されたんだから
くくと笑尾喇が笑う。
――白い目……日向一族?
――ああ――そうとかいったな。どうだ小娘、封印術を解いてくれはせぬか? 交換条件もそれなりに悪くないと思うが
――交換条件……?
そうだと笑尾喇は漂うような笑みを見せて、背筋を伸ばし、扇子片手にくるりと一回転、肉球のついた手のひらを差し出した。二足歩行の、白装束の犬が少女に向かって肉球のついた手を差し出す――それはある意味かなりシュールな光景だ。
サクラは手を乗せた。成立だ、と笑尾喇が笑い声をあげる。サクラは慎重にユヅルの服を捲り、印を組んでいく。これが施されたのとは逆の順序で。彼の左胸に浮んでいた二重丸の封印式がチャクラの塊と化して、持ち上げられていくサクラの左手に従って吸い取られるようにその肉体を離れていく。ユヅルがほう、と大きく溜息をついたかと思うと、呼吸は前に増して安定し、彼は安らかな表情で眠り始めた。
――礼を言うぞ――小娘。ふふふ……あの蛇の頭を砕いてやる! 殺してやる殺してやる――柱に縛って、食べ物を目の前に置いてやろう。あいつが餓死したらその首を切り、頭をかち割ってやろうぞ!
喜悦に歪んだ顔で笑尾喇が笑みに似たものを浮かべた。紅を塗った唇を真っ赤な舌が一舐めする。
サクラの意識が遠のいた。せめてマナを起こさなければと手を伸ばすけれど、その手が届く前にサクラの意識はもう、暗闇の中に沈んでいった。
サスケの瞳のような暗闇に。
「んーぁあー! あー!」
サクラは目を覚ました。ナルトが大きな欠伸をしながら両腕を天に向けて伸ばし、「よく寝たってばよぉ」とまだ些か眠そうな、しかし能天気な声で言う。
「ナルト! ――サスケくん、それにユヅルも」
それに相次いで、手拭いを額に乗せたままのサスケも起き上がり、ユヅルがもぞもぞしながら這い上がった。すぐ近くに視線をやると、見張りをしていたであろうはじめが「起きたのか」と振り返り、マナが木の実を食べているのに気付く。
「……お前が、看病してくれたのか?」
「あったりめーだろ? サクラ頑張ってたんだからな、感謝しろよー」
「ありがとうサクラちゃあん、お陰ですっかりよくなったってばよ!」
「ありがと、サクラ。迷惑かけちゃったね。……それにマナやはじめも」
手拭いとサクラを見
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