第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
笑尾喇
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、それからはサクラ一人でナルトとサスケを守らなければいけない。サクラたった一人で。
――私が……私が守らなきゃ
一人は片想いしてきた相手。もう一人は少し前までうざいと思っていた、でも今では掛け替えのないチームメイト。
両方守らなければならない。両方とも自分にとってはとても大切な存在だ。だから尚更守らなければならない、自分の力で。
「サクラ」
「どうしたの、マナ?」
はじめは紅丸と共に食物採取だ。曰くマナはつまみ食いするので駄目、ということで、マナとサクラ、女子二人が残されている。今晩は三人が交代制で見張りと看病を努める予定だ。
「これ、やるよ」
投げてよこしたのは地の巻き物だ。受け取ったサクラは目を白黒させてマナを見つめる。
「巻き物二つも無くなっちゃったんだろ? そっちあげるから。あ、それとも天の巻き物の方がよかったか?」
「ま、マナ!? ちょっとやめてよ、これはマナやはじめ達が手に入れたものでしょ!? 私には――っ」
「とっとけよ。役に立つかもしれねえから。おべんとつくってくれたお礼だからさ!」
にやっと悪戯っぽく笑って、マナは人差し指を立てる。
「これで貸し、一個返したからな!」
「……なによ、マナったら……こんなの、幾ら借りがあっても足りないくらいよ……っ」
また溢れてきた涙を拭って、サクラは渡された巻き物を握り締めて笑う。暫くの間することもなく横たわる三人を見つめていたマナとサクラだったが、その内サクラがうつらうつらと船を漕ぎ始めた。その頭がすうっと下がりかけて、しかしサクラはぱっと頭を起こすなり、ぶるんぶるんと頭を振った。先ほど一番の見張りには自分がつくと決めたばかりなのに。
「サクラ、寝たら?」
マナが声をかけてきたが、いいの、とサクラは首を振った。
「大丈夫よ。ちょっとぼーっとしてただけだもの。最初の見張りはやっぱり私がやるわ」
「……いいよ、アタシがやるから。寝てろよ。バテるぞ」
先ほどの戦闘でサクラは見ていることしか出来なかったとしても、精神的な消耗は酷かったはずだ。
「でも、マナは」
「アタシは特になんもしてなかったし……ちょっと寝てろよ。あとでまた起こしてやるから」
「……そう? じゃあ約束ね。マナの番が終わったら、私を起こして。それからは私がはじめを起こすから」
うん、とマナは頷いた。月明かりに照らされたマナの顔はいつも以上に大人びていて、神秘的に見えた。
目を瞑る。大丈夫。もうじきはじめは帰ってくるはずだし、マナも傍にいるから。
サクラは夢のない眠りの中に堕ちていった。マナに凭れ掛かりながら。
マナはサクラの桜色の髪に顔を埋める。そこからする匂いは花や香水の匂いではない。汗と血と、それから土の
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