第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
大蛇丸
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
サスケと、クナイで大樹に固定された気絶しているナルト、そして目を血走らせたユヅルだ。
「サスケ……それは、写輪眼か?」
「そんなことはどうでもいい、それよりユヅルは――?」
はじめの問いかけに若干焦った声で答えて、サスケは扇子で大蛇丸と戦うユヅルを見つめた。マナが短く答える。
「犬神っつー奴が、ユヅルの体を乗っ取ってんだよ」
+
「そう。貴方は犬神なのね?」
〈忘れたとは言わせんぞ、この呪われた生き物が! 蛇は蛇らしく地を這っておればいいものを――砕いてやる、お前の頭をかち割ってやる!!〉
歯をむき出して、ユヅルの扇子が激しい勢いで舞ってくる。それをクナイで受け止め、受け流したりしながら、大蛇丸はユヅルと――正確には笑尾喇と応戦していた。
「悪いけど私の邪魔をしないでくれるかしら。私はもっぱら、うちはの男の子に興味があるんだけれど?」
〈っが、ぐァアアアアア!〉
にこりと笑って見せた大蛇丸にユヅルの白い髪が逆立ち、ユヅルは叫びのような、呻きのようなもの声を出す。大蛇丸が印を結ぶ。ユヅルが吹っ飛び、マナ、サクラ、サスケ、はじめ、紅丸は飛び上がって散り散りになった。
マナがナルトを固定していたクナイを抜き、重力に手繰られ落下していくナルトをはじめが受け止め、上へと飛び上がった。着地したその傍にはサスケがいる。
「……サクラは?」
呟いた瞬間、引き攣った悲鳴。振り返れば太い木の枝の上でサクラがゆっくりと後退っている。
〈小娘……お前か、この術をかけたのは、お前か!?〉
看ればユヅルの左胸に円形の封印がかけられてある。そこが繰り返し明滅していた――成る程、とマナは瞬時に状況を理解する。笑尾喇はユヅルから出たくても出れないのだ。あれは恐らく封印術で、そしてそれがかけられたのは恐らく、ユヅルが健康診査をしにいったあの日。
「違う……私じゃない、私じゃないって言ってるでしょ!?」
〈大蛇丸め、お前か? 呪わしき生き物よ、お前か? 我を人間の小僧の体の中に閉じ込めようと、そういう魂胆か? いいだろういいだろう、受けてたとうではないか――!〉
そしてユヅルの胸の封印の明滅が更に激しくなり、そしてそこから犬の頭が現れた。ユヅルは上半身を仰け反らせるような体勢になった。その瞳から光が消えて虚ろになる。
〈ああああああ!〉
犬神の胴体が封印を突き破って出て来んとする。封印から言葉によって形成された鎖が現れ、犬神を繋ぎとめようとするが、しかし犬神はそれすら突き破って表に出てこようとしていた。けれどそれがユヅルの体に与える負荷もかなりのものだ。
ユヅルの口から唾液が滴り、顔は血の気を失って土気色になる。ネジかヒナタだったら、白眼で経絡系が犬神と共にその体からつ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ