第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
大蛇丸
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怖を覚えて、はじめは一歩後退った。
〈あの蛇め。覚えておれ、覚えておれ――! この恨み、晴らしてやる――〉
ユヅルが胸元を掻き毟った。そこからしきりに聞えてくるのは犬神の、笑尾喇の憎悪に満ちた声だ。
〈待っておれ――あの蛇が。呪われた生き物めが! 待っておれ――覚えておれ!〉
ユヅルが地面を蹴って跳ね上がる。その口が動いて、呪いの言葉を吐いた。
――ユヅルが、笑尾喇に乗っ取られている。そう感じたマナとはじめは顔を見合わせる。紅丸が唸り声を上げた。
これはいくしかないと、二人と一匹はユヅルの後を追って走り出した。
「サスケくーん! やったね!」
太い枝を駆け下りて、サクラはチャクラの使いすぎだろうか、荒い息をつくサスケの下へ駆け寄った。
しかしサスケは答えずに、息をするのですら苦しそうにはあはあと荒い呼吸を繰り返す。足が疲労に震えた。サクラの喜びの色はすっかり顔の影に潜んでいく。
「……大丈夫? しっかりして!」
ぷつんとワイヤーが切れて、草忍が数歩進んだことにサクラもサスケも気付かない。そしてその草忍は、印を結んだ。使用したのはアカデミーレベルの忍術だが、しかしその草忍が使用すると、威力も並みのものではない。サクラは数秒抗っていたが、力に押されて崩れ落ちてしまい、サスケはなんとか抗おうと必死だが、体は思うように動かない。
「――金縛りかっ!?」
「その年でここまで写輪眼を使いこなせるとはねえ……流石うちはの名を継ぐ男だわぁ」
草忍の顔の表面はぼろぼろになり、偽の皮が破れかけていた。その下から病的な青白い肌と爬虫類じみた金色の瞳が除く。草忍が手をどけると、草隠れを示していたはずの額当てに、音符マークが――音隠れの忍びであるということを示すマークが現れた。
「やっぱり私は君が欲しい」
草忍が――いや、大蛇丸が笑う。そんな大蛇丸を背後から襲ったのは、赤い二つの光。
〈はっ、――ほざいてろこの呪われた生き物め! 殺してやる殺してやる殺してやる――!〉
「っ!?」
「なっ、ユヅル!?」
白い髪を靡かせたユヅルのクナイが、咄嗟にかわした大蛇丸の服を裂いた。勢いあまったユヅルはサクラとサスケの近くに滑り込むも、枝を蹴って大蛇丸のところへと飛んでいく。人間の口寄せはめんどくさい、と彼が呟きながら、扇子を口寄せした。
一瞬集中力を散らした大蛇丸によって、サスケとサクラにかけられていた金縛りの術は解け、いきなり術がとけたことに、サスケは咄嗟にバランスがとれずに崩れ落ちかけたが、それをはじめが支えた。
「はじめ? それにマナも」
「大丈夫か、二人とも?」
「わ、私は大丈夫だけど――」
サクラが気遣わしげな目線を向けたのは、疲労困憊しているはずの
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