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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
大蛇丸
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ー?」

 鼻に洗濯バサミの痕が痛々しい。紅丸の体を泡まみれにしているのはマナがポケットの中に持っていたサポナリア、別名シャボンソウというもので、葉から石鹸のような泡を出すことが出来、石鹸の代用となるものだ。彼女がそんなことを知っていたとは、と軽く驚きながらユヅルとはじめは話し合う。

「マナにはサバイバルは向かないと思ってたけど、訂正。マナも意外にやれるもんだね」
「ああ――単純だがわかりやすい計画だな」

 高度なテクニックや凄まじい威力の技を必要としていない。クズリの糞、風下と風上――嗅覚型でなくとも十分使える作戦ではあるし、唾液弾もチャクラ糸も、使用される技は皆他の技に変わっても構わないような技だ。例えばこれが七班なら、唾液弾は豪火球、チャクラ糸は普通の縄、もしくは縛る必要すらないかもしれない。
 以前は女子のドベだからと侮っていたところもあったのだろう。けれど彼女は予想以上だった。

「これならきっと第三試験だってばっちりだよ。そう思わない? はじめ」
「まあ……あっさりやられるような、無様な真似は晒すまい」

 マナが体を起こす。すっかり綺麗になった紅丸がはしゃいでマナの足元でぐるぐる回っていた。

「じゃあ塔へ向かうぞ、おー!!」

 拳を空に向かって突き上げたマナに、ユヅルが微笑んでみせる。相変らず無表情なはじめも、僅かに目元を緩めた。
 けれど一歩も進みださないうちに、焦げ臭いにおいが鼻をついた。思わず振り返ると、森の一部だけが明るく燃え上がり、周囲の闇に更なる影を落としている。目のいいユヅルには、細めた目の先で、確かに鮮やかな桜色を目に捉えた。 

「……サクラ? それに……ナルトも?」

 眩しい金色が、オレンジの服をクナイで固定されている。気絶しているのだろう、だらんと四肢が垂れ下がっている。

「じゃああの火遁はサスケか。流石じゃねーか、もうじき巻き物ゲットしてこっちくんじゃねーの? ……おい、ユヅル?」

 マナが能天気な声で笑うが、ユヅルは笑わなかった。地面に蹲って肩を震わすユヅルに、どうした、とはじめが屈みこむ。ユヅルの息が荒い。脂汗が滲み、そしてその服越しに、明滅する青白い光が零れていた。

「ユヅル? ……なあ、ユヅル?」
「いたい……」
「……え?」

 いたい、とまた彼が呟いた。体ががくがくと震えていた。青白い光の明滅の頻度が上がり、彼はうわごとのように呟く。 

「痛い、痛い痛い痛いよ。痛い痛い痛い――――ッ」

 赤い瞳の中に新たな赤い光が現れた。澱んでいてそれでいて澄み切った赤。醜悪でありそれでいて美しい赤。忌々しくそれでいて神聖な赤。危険を示すと同時に欲望を示し、憎悪と同時に愛を示す赤。
 それがユヅルの赤い瞳に広がっていく。その真紅に恐
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