第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
大蛇丸
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ころで回避され、すうっと彼は数メートル離れた地に着地する。
そして両者は互いに距離を縮め、凄まじい体術の攻防を繰り返した。
――……見える
とうとう本気を出したのだろう。草忍の姿が消えた。後ろで気配がしたかと思って振り返ると、既に草忍は風塵を巻き上げて消えている。かと思いきや付近を走っていく風の筋に、確かに草忍の纏う衣服の色がついていた。その下半身が伸びて、蛇のような風情になっている。
――見える!
けれどそのような、一般人には見えないような動きも、写輪眼の持つ動体視力から逃れることは出来ない。
「見えるぞっ!」
草忍が着地するであろう場所にめがけて火遁を放つ。一発、更に威力を強くして二発目。炎の竜巻が形成され、草忍は燃え盛る火の渦の中、閉じ込められる。
その火が消え去った頃に地面を潜って進んできた草忍を飛び退って交わし、その攻撃の手が数秒止まったのを見て大きく息を吐く。しかし緊張は緩めずに、素早く構えなおした。
草忍が口元に笑みを浮かべ、人の形態を取り戻して立ち上がる。そして掛け声とともに両掌を木の枝に叩きつけた。伝わっていく衝撃波に木肌が剥がれ落ち、サスケはさっと別の木へ飛び移った。彼の元いた枝が折れてぎぎぎと音をたてて落下していく。
飛び移ったその枝から素早く飛び降り、丁度真下にいた草忍の体を捕らえて木の枝からそいつの頭を下へ向け、まっさかさまに急降下した。
「もらったぁあああ!」
草忍が頭から地面に激突する。ここも木の枝とはいえ、上との差は十メートル以上にもなる。あんなに高い木の上から落ちて無事なはずはない。ぴしっと木に亀裂が入り、草忍は逆さまになって頭ごとのめり込み、大きな目が見開かれる。痙攣していた青白い手がばたりと体の両脇に落ちた。
すっとその体から距離を取ると、更に今まではサスケに支えられていた両足がぱっくりと外向きに倒れてかくんと折れる。
それを数秒長めていたサスケは、やがてその体が色を失って土くれとかすのを見た。
「変わり身!?」
途端クナイの群れが飛び交い、サスケは写輪眼を用いてそれらを交わすと、両手の中から伸ばしたワイヤーを木にひっかけ、倍化の術を使用したチョウジが三十人くらいの幅を持つ大樹の周りをくるりと回転する。そして足場を見つけてワイヤーを放し、その上に着地。後ろを振り返ったその瞬間、前から聞えてきた足音に振り返ると、顔面に拳が叩き込まれた。
今回は草忍の優勢だった。サスケが反応する暇すら与えず、膝や拳を次々とサスケの体に叩き込んでゆく。強めの拳を一撃叩き込めば、サスケの体は呆気なく吹き飛んだ。
「っサスケくん!」
自分がいれば逆に足手まといとわかっていて見るだけにしていたサクラも、倒れたサスケを見て悲鳴に近い声で彼の名を呼ぶ。
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