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第六十六話 氷の世界のいざこざ
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それほど今の状況は暇なのだ。隣に目を移すとリーファがトンキーの背中に積もった雪のオブジェクトを寝ているキリトの背中の服中に突っ込み、その冷たさで一気に目が覚めたキリトは跳ね起きたところだった。

「何をしているのやら・・・」

そんな二人に呆れながら氷の世界を眺めていると、雪と氷に覆われたなだらかな丘を登りきったところで、足を止めた。リーファが頭の方へ移動して前方をのぞき込むとそこには尋常ではないほど巨大な垂直孔が口を開けていた。

「うわぁ・・・」

嘆声を漏らすリーファは目を凝らして孔の底をのぞきこもうとするが、いくら目を凝らしても底をみることはかなわなかった。

「どれくらいの深さがあるんだろ・・・」

「わたしがアクセスできるマップデータには、底部構造は定義されてません」

「うへぇ・・・」

リーファのつぶやきにユイが答え、その答えにキリトが嫌な溜息を吐く。

「人間が自由落下で落ちる速度がだいたい時速200Kmだったはずだ。おれが落ちた時間はだいたい30分ぐらいだったから・・・100Kmくらい下にダンジョンがあることになるな」

漆黒が広がる巨大な垂直孔――グレートボイド――を眺めていた二人と一匹にその穴に落ちたことのあるソレイユが補足説明を付け加えた。ソレイユがグレートボイドに落ちたことがあることを知らないキリトたちは頭に疑問符を浮かべながらソレイユに質問する。

「なんか知ってる口ぶりだけど・・・落ちたことあるのか?」

「あるよ。レーヴァテインを取りに行くときにな。つか、おまえら・・・ALOが舞台となっている北欧神話、どれだけ理解できてる?」

「正直あんまし」

「あたしはある程度は」

「なら説明は省くか」

キリトの言葉を無視しつつソレイユは話を進めていく。

「まぁ、一言で言えば最下層まで落ちてったんだよー」

「・・・でも、それだとユイがアクセスできないのは何でなんだ?」

「ユイのアクセス出来る権限以上の領域ってことだろ?カーディナルが直接管理している、とかな。だとしたら、他の世界もカーディナルの独断で作られた可能性もあるな・・・」

「・・・なるほど・・・」

最後の方はキリトに聞こえないようにボソッと呟くだけだったが、SAOのサーバーを流用していると知っている二人は話を進めていく。それを知らないリーファは蚊帳の外となってしまっていた。

「まぁ、なんにせよ。いかないことをおすすめするぜ」

「なんでよ?」

「時速200Kmで地面に叩きつけられてみろ。HPゲージなんて簡単に吹き飛ぶ」

「た、確かに・・・じゃあ、ソレイユ君はどうやって着地したのよ?」

「インプの特性を忘れたか?暗中飛行があるだろう」

「ああ、なるほ
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