第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ルーキー
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お袋が行けって言ったんだよ……」
「ナルト君……」
「ねえ、この虫って食べられるの?」
「…………」
「私は女装させられる、させられない、させられる、させられない……」
ギャーギャー騒ぎ出したルーキーどもにキレた奴がいたらしい。
「――キミたち、いい加減にしてくれると嬉しいんですけど……ねッ」
がっと飛び出た顔を包帯で覆った少年が、右腕を大きく振りかぶってルーキー達に殴りかかろうとする。その標的はその中でももっとも大声で騒ぎあっていたキバとマナだ。ルーキー達に苛々していた者は少なくないのだろう、多くの者がその音忍の少年――ドス・キヌタに「いいぞいいぞ! やっちまえ!」などと声援を送っている。
「――っぐ!」
キバとマナの両者が同時に地面に転がったのは、そのドスの攻撃を受けたからではなかった。隣同士に倒れたキバとマナを庇うようにして立っているのは、白い髪を一本結いにして、眼鏡をかけた若者だった。
「キミ達は本当に騒ぎすぎたと思うよ。これは遠足じゃない。彼等は試験前でピリピリしているんだ、うっかりすると今のように襲い掛かられることがあるんだ……わかったかい?」
「は、はい……」
倒れたキバとマナや、その他騒いでいたルーキー達が罰の悪そうな顔になる。そんな若者の登場に、ルーキー達が叩きのめされるのを心待ちにしていたギャラリーからはぶーぶー声があがった。
「邪魔しないで欲しいですねえ……」
ドスが呟くと同時に、その腕を大きく振った。若者がその腕をかわして余裕の笑みを浮かべる。誰もが若者は攻撃を見切ったものと思いこんでいたが、
「っ、ぐ、ぐぇええ……」
突然顔が血の気を失ったかと思うと、未消化の朝ご飯か昼ごはんだったであろうものを吐き出して、床にぶちまけた。嘔吐物から漂う異臭に紅丸と赤丸は退散し、鼻のよいキバは一瞬顔を顰めるも、驚きの方が大きかったらしい。マナも唖然としてそのような光景を見つめていた。
彼は確かにドスの一撃を見切ったはずだ。なのになんで吐いたんだろう。鼻元を衣服の袖で押さえつつも、キバがその背を摩ったり、叩いたりした。けほけほと軽く咳きこみながら口内に残っていたものを吐き出し、冷や汗と脂汗を滲ませた顔で僅かに微笑しながら彼は言った。
「ほら、僕の言った通りだろ? ……こうなるんだよ」
どこか冷たい、その微笑に、マナとキバの背筋が凍った。
+
「ちょっと、眼鏡の兄ちゃん! 大丈夫かってばよ!?」
駆け寄ってきたのはナルトだ。先ほどの冷たい微笑はどこへ行ったのか、弱弱しく微笑みながら彼は言う。
「眼鏡の兄ちゃん、じゃなくて、薬師カブトだ。……大丈夫、ちょっと気持ち悪いけど、胃の中のものは全部吐いてしまったからね、これ以上吐
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