夏休み
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「何を、今更、言ってやがるこのボケが!!」
互いに殴り合い、鼻や口から血を流しながら二人は戦いあう。二人の瞳は獲物を狩る野獣のように爛々と輝かせながら、拳を交えていく。
すると、そんな二人に触発されたのか、周りで二人の喧嘩を見ていた不良たちも喧嘩を始める。だが、二人はそんなことお構いなしに殴り、蹴り、頭突きあう。
「やっぱ喧嘩は楽しいなぁ! 真琴ぉ!!」
「そうだ、なぁ!!」
笑顔で喧嘩をし合うという異様な光景だが、響たちは心底楽しそうだ。しかし、数分間殴りあった末、ついに真琴が膝を付いた。
「これで締めだ沈めや真琴おおおおお!!!!」
この好機を見逃さず、響は真琴を蹴り飛ばした。
「がはっ!!」
真琴はそのまま吹き飛び地面を転がる。意識はあるようで、何とか立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かないのか、力なくその場に倒れ付す。
それを確認した響は周りで喧嘩を始めた不良たちに高らかに宣言した。
「テメェらもかかって来いやああああ!!!!!」
一際大きな雄たけびに、一瞬動きが止まる不良たちだが、すぐに場の状況を理解すると、一斉に響に向かっていった。
「さぁ……楽しくやろうじゃねぇか!! 最っ高の喧嘩をよぉ!!」
向かってくる不良たちと対峙しながら、響は口角を吊り上げた。
「あー……疲れた……」
一時間後、響は気だるそうな表情で廃倉庫の壁にもたれかかりながら腰を下ろした。
彼女の前には響にかかってきた不良たちが山のように積みあがっていた。
「おーい悠璃ー大丈夫かー?」
「あーい……なんとかー……」
響が悠璃を呼ぶと彼女は不良たちの山の一角から這い出てきた。
「じゃあ帰るか? 用も果たしたし……。おい! 真琴に琉牙!! 私は先に帰るからテメェらもさっさと引き上げろよ!」
「お、おう……」
「言われなくても……」
その声に二人は力なく返事をする。二人の様子に溜息をつきながらも、響と悠璃はその場を後にした。
バイクの所までやってくると、響はまたがりつつ悠璃に声をかける。
「さて……送ってやるから乗れよ悠璃」
「え? いいんスか!?」
「ああ、舎弟の面倒見るのは当たり前だろ?」
「アザッス!!」
悠璃は一礼すると、響の後ろに乗り込み、彼女の腰に手を回す。
「じゃあいくかー。しっかりつかまってろよー」
響は言うと走り出した。
十数分後、響は商店街の一角で悠璃をおろした。
悠璃はこの商店街の弁当屋の娘だ。時折響も利用していたため、悠璃の両親とも知り合いであり、悠璃の両親は二人とも響達の様
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