夏休み
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ホレ、遊んでやるから来な……」
「ぶっっっっっっ潰すっ!!!!」
響の安い挑発に乗り、琉牙はなりふり構わず突撃してくる。それを見ていた真琴は小さくため息をつくと、「……馬鹿」と呟いた。
「これで潰れろ響いいいいいい!!!!」
憤りの叫びを上げながら琉牙は駆ける速度をそのままに、渾身の力をこめた拳を響に放つ。
「……バーカ」
呟きと同時に響は琉牙の顎に強烈なアッパーカットを叩き込む。その影響で琉牙は大きく後ろに吹っ飛ばされ、力なく地面に叩き付けられた。
「ずりぃぞ……響……」
「何がずるいって? 喧嘩は試合じゃねぇんだよ。引っかかったお前が悪い」
「くそっ……たれ……」
最後に言い残し、琉牙は動かなくなった。おそらく軽い脳震盪が起きているのだろう。そんな琉牙を手下達が急いで回収する。
それをため息をつきながら見送る響の右頬に拳が叩き込まれた。いきなりのことに受け身が取れなかった響はそのまま飛ばされる。
「喧嘩は試合じゃないんでしょ? だったらアンタも気を抜かないことね響」
先ほどまで響がいた場所に真琴が妖艶な笑みを浮かべながら響を見つめていた。
「ハッ……! そりゃあそうだ、自分で自分の言ったこと忘れてたぜ」
ゆらりと立ち上がりながら鼻血を指の腹でぬぐい、ニヤリと口元を上げ、拳と掌を打ち鳴らす。
両者はどちらかともなく駆け出すと、
「ラァ!!」
「ハァ!!」
同時に拳を放ち、それぞれの拳がそれぞれの顔面に直撃する。どちらも一瞬のけぞるが、響のほうが一瞬早く回復し、真琴に追撃のわき腹への蹴りを叩き込む。
「がっ!?」
「まだまだぁ!!」
わき腹に蹴りを入れられ隙ができた真琴にさらに肘鉄をかまそうとするが、
「なめんじゃねぇ!!」
言い放つと同時に真琴は響の肘鉄が当たるよりも早く響の鳩尾に頭突きを叩き込む。
「っ!?」
鳩尾に重みのある一撃がはいり、一瞬息が止まりのけぞる響。だが、それでも真琴に対しての攻撃は緩めない。
……喰らっとけ!
のけぞる体重をそのままに、響は真琴の顔面に膝蹴りを見舞いする。
膝蹴りを叩き込まれ、血を飛び散らせながら真琴は響と同じようにのけぞるが倒れない。
「こんなもんじゃねぇだろ響!!!!」
「ったりめぇだろうが! テメェこそやっと火がついてきたんじゃねぇか!? さっきまでの気色ワリー言葉遣い消えてるぜっと!!」
「ハン! テメェも同じだろうが! 目がぎらついてるぜ!?」
互いに罵り合いながら、二人は拳や蹴りをぶつけていく。だが、二人の顔はとても嬉しそうだ。
「やっぱ喧嘩はぁ……生身じゃねぇとなぁ!!!!」
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