夏休み
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たいし」
響が言った瞬間、二人の目の色が変わる。琉牙は待ってましたとばかりに口元をにやりと上げ、真琴は妖艶にその顔を歪ませる。
すると、真琴が一旦退き壁に背を預ける。それと入れ替わるように琉牙がズイッと前に出る。
「待ってたぜこの時を! 今日こそテメェを叩き潰してやる!!」
「あーはいはい。わかったからさっさとかかってこい」
響は悠璃を脇に退かせながら、琉牙を見据える。琉牙は軽く拳を打ち鳴らすと、
「いくぜおらああああ!!」
雄たけびを上げながら態勢を低くし突貫してきた。
「相変わらず馬鹿の一つ覚えみてぇに突っ込むことしか脳がねぇのかテメェは!!」
「ハッ!! そうじゃねぇ、これがアタシの戦術なんだよ!!」
響の罵倒とも取れる言葉を聞きながらも琉牙は走る足を休めず、ただひたすらに突っ込んでくる。
「ったく、少しは学習しろっ!!」
直前まで迫った琉牙を響が叩き伏せるため拳を放つ。だが、拳は空を斬った。
「ありゃっ?」
「こっちだバーカ!!!!」
素っ頓狂な声を上げる響とは裏腹に、琉牙は響の横から顔面に強烈なハイキックを打ち込む。
「チッ!!?」
苦い顔をしながらも、響はそれを左手を使い直撃する瞬間に防いだ。
しかし、衝撃は中々のものだったのか、響は軽く後ろに後退させられた。それを見た観衆が、「おお!」という声を上げる。
「おーいってー……。まさかそこまで足速くなってるとは思わなかったぜ」
後退させられた響は左手をプラプラと回すと琉牙を見据える。それに対し、琉牙も小さく笑いながら、
「油断してると、今度はガチで顔面にぶち込むぜ?」
響を煽るように挑発すると、また先ほどと同じように響に一直線に突っ込む、すると響は口元をにやりと歪ませ言い放った。
「まったくよぉ、もう少しド派手に攻めてくることはできねぇのかぁ!? ちまちま削ってるだけじゃ私は倒せねぇぞ!! それとも何か? テメェやっぱビビッてんのか『オチビ』ちゃんよぉ!!」
すると駆けていた琉牙の足が止まる。彼女は俯くと、
「おいテメェ……いまなんてった?」
「ハァ? 聞こえなかったか? ビビってんのか『オチビ』ちゃんって言ったんだよボケ!!」
「誰がビビッてるだゴラアアアアアア!!!!」
途端に琉牙が怒声をあげる。眉間に濃くしわを寄せ響を睨みつける。だが、今ここに居る全員は同じことを思っているだろう、それは、
……チビには反応しないのか……。
である。
実際響は「チビ」という単語を強調していたのだが、琉牙はそんなことよりも「ビビッてる」と言われた方が気に入らないらしかった。
「……まぁいいや。
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