夏休み
[7/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ウィース。鳴雨響到着しましたー」
かなりふざけた態度で響は廃倉庫の中に入る。
すると、
「遅せぇ!! なにやってやがった響!!」
甲高い怒声が聞こえてきた。そのほうを見やると、赤茶けた髪をショートカットにしている小柄な少女が響を睨みつけていた。
彼女は時鐘琉牙。鬼火の頭である。因みに琉牙という名前は偽名であるらしく、本名は響も知らない。そして彼女は響よりも二つ年上の高校三年生である。
「なにやってたって……ちょっと道が込んでてさ」
「そうか、じゃあしょうがねぇな!! ってなるわけねぇだろ馬鹿か! お前馬鹿か!!」
「うっせーなぁ。きゃんきゃん吼えんな子猫ちゃんよぉ」
琉牙の突っ込みに響はため息をつきつつ、頭をガリガリと掻く。
「相変わらず時間は守らないのね、響」
今度は響の横の方から落ち着いた感じの声が聞こえてきた。そちらにいたのは、腰まである長い黒髪をそのままストレートに流しているどこか大人な雰囲気を漂わせる少女だ。彼女は暮空真琴。蛇皇の頭である。
「よう真琴。相変わらず大人っぽいな」
「そりゃどうも。だけど一応アンタと同い年だからね?」
「知ってるよ。だからそう睨むなって」
カラカラと笑いながら響は答える。すると、
「響さーん!!」
廃倉庫の暗がりから目に涙を溜めながら駆け寄ってくる茶髪をシャギーにした少女がいた。
「おー、悠璃ー。久々だなー元気してたかー?」
「元気してたかー?、じゃないっすよ!? なに遅れて来てんですか! もうなんか蛇皇の頭が笑顔で威圧感与えてきてめっちゃ怖かったんですけど!!」
「そっかー。おいおい、真琴よー。あんま私の舎弟脅すんじゃねーよ」
「失礼ね。誰も脅してなんかいないわよ、ただこのままアンタが来なかったらどんな方法で痛めつけてあげようか考えていただけよ……」
「余計性質が悪いな。大体お前は――」
「お前らアタシを無視すんなああああああ!!!!」
響が言いかけたところでずっと黙っていた琉牙がまたも大声を張り上げた。
「なんなんだよお前ら! なんでいきなり談笑し始めてんだよ!! アタシ等は今日勝負しに来たんだろうが!!」
「あぁそういえばそうだったな」
「すっかり忘れるところだったわ」
「くっ! なんなんだよこいつ等ぁ……」
響と真琴がお互いに言い合うのを見た琉牙は地団駄を踏む。そんな姿を琉牙の後ろから見ていた琉牙の部下達は、
「琉牙さんがんばれー!」
「それぐらいで負けちゃだめっすよ!!」
琉牙に声援を送っていた。
それを見ていた響は軽くため息をつくと、
「じゃあさっさとはじめるか? 私もさっさと帰り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ