夏休み
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音はそれを見送りながら、
「多分姉さんの言ってるうちの中の何人かは姉さんのこと好きそうだよね」
「そうねー。私も思ったけど響ちゃんはもてるわよねー。主に同性に」
「未だに中学校で人気あるからね」
どうやら二人は響が気付いていないことに気がついているようだ。
実際響が同性にもてるのは今に始まったことではない、本人は気付いていないが中学の頃は男子は怖がって近寄らなかったものの、女子は話しかけるのが恥ずかしくて声をかけなかったのだ。
「そこんところはにぶいよねぇ、姉さんは」
ため息をつく渉の声が届くはずもなく、響は廊下で話しこんでいた。
『響さん、わかってるとは思いますけど明日の夜からですからね!』
「わかってる。夜8時にいつものところだろ?」
『ウッス! じゃあまた明日お願いします!」
「おう、さっさと寝ろよ」
響は言うと電話を切りながらため息をつく、
「明日は久しぶりの喧嘩か……。楽しみだな」
彼女は歯をギラリと光らせながら、心底楽しそうに笑う。
その後、食卓に戻った響はIS学園のことや友人達のことを話しながら過ごした。
時間は経って翌日の午後八時、響はバイクにまたがりある場所に向かっていた。
この街には『三凶』と呼ばれる三つの不良グループがある。
一つは海岸沿いに存在する、空き倉庫をたまり場としている不良グループ『蛇皇』。
そしてもう一つ、街の西側にある廃ビルを根城とする『鬼火』。
さらにこれに響が入ることにより、三つになる。ただし、響はグループを持たず、持っているのは舎弟である華霧悠璃ただ一人のみである。また、他の二つに対し、響はグループの名を持たない。
その理由は「ダセェ」であるとのこと。
今日は蛇皇の頭、暮空真琴と鬼火の頭、時鐘琉牙の二人とサシでの勝負をすることとなっている。
その場所となったのは、蛇皇の根城である廃倉庫である。約束の時刻は過ぎているが、響はそんなこと気にした風もなくバイクを走らせる。
おそらく、既に真琴や琉牙達は待ちくたびれている事だろう。いや、待ちくたびれているというよりも、苛立ちが頂点に達していることだろう。
……あ、悠璃先に行かせちまったからもしかしたらやべぇことになってるかもな。
「まっ大丈夫か」
楽観的に呟くと、鼻歌を歌いながら響は目的地を目指す。
そして八時二十分。
予定より二十分遅れ、響は廃倉庫に到着した。すでに外には目つきの悪い連中が響のことを睨んでいるが、響はそんなことは気にせず進んでいく。
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