夏休み
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「ぐほぁ!? ……母さん、いきなり飛び込んでくんのやめてくれねぇかな?」
飛び込んできた影は響の母親、鳴雨紫音だった。すると彼女は不服そうに頬を膨らませながら、
「えー、だって久しぶりの響ちゃんの感触を味わいたいし」
「つーかもう味わってんじゃん!!」
「まぁまぁ。それぐらい許して上げなよ姉さん」
玄関でじゃれ付く二人を見ながらリビングから出てきた若干赤茶けた髪色をした少女、響の妹である鳴雨渉がやって来た。
その顔は何処となくやつれて見える。
……ああ、私がいない間母さんの餌食になってたわけか。すまん渉。
内心で妹に謝罪しながら響は自らの胸に顔をうずめる紫音を引っぺがす。
「母さん、いい加減私に抱きつくのは終了!」
「むー……響ちゃんのケチー」
「あーはいはい。疲れたから少し寝てるから夕飯になったら起こしてくれ。渉」
むくれる紫音を尻目に、響は渉の肩に手を置くとそそくさと二階にある自分の部屋に上がっていく。
「だってさ母さん。疲れてるみたいだから今は休ませてあげよう?」
「それもそうね。さて! じゃあ今日は腕によりをかけて夕飯作っちゃおっかなー!」
「私も手伝うよ」
渉と紫音はキッチンに向かう。
一方自分の部屋に戻った響はベッドに倒れ付す。
なにせIS学園から家まで六時間という長時間、ずっと運転してきたのだ。疲れも溜まっているのだろう。
ベッドにうつ伏せの状態で倒れた響はそのまま大きく息を吸う。
「……はぁ。やっぱ家は落ち着く……な……」
最後の方は尻すぼみになりながら、響はまぶたを閉じ、意識を手放した。
「姉さん、起きて。ご飯できたよ」
「ん……おう」
響が眠ってから数時間後、渉が響を揺さぶり起こしにやってきた。
すでに日は暮れており、窓の外から見える町並みは既に灯りがともっている。
「今何時だ?」
「七時半だよ。大体三時間ぐらい寝てたね」
「そっか……くあーよく寝たようなそうでない様な」
大きく伸びをしつつ響は立ち上がる。口元には涎を垂らして寝ていたのか白いすじができている。
「姉さん、涎のすじついてるよ?」
渉がそれを指摘すると、響はすじを指の腹でぬぐう。
「じゃあ久々に家のメシにありつきますかね」
響は嬉しそうに笑いながら渡るとともに部屋から出る。
すると、一階から鼻腔をくすぐる芳しい香りが漂ってきた。それに呼応するかのように響の腹の虫が小さくなる。
「フフッ。相変わらず可愛い音だよね姉さんのお腹の音」
「うっせ。……そうだ、私が寝てる間悠璃から連絡はあったか?」
「なかった
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