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剣の丘に花は咲く 
第十章 イーヴァルディの勇者
第三話 空から女の子が?
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ュたちは知っていた。
 そう、マリコルヌが明らかに限界を超えていながらも士郎から指示された姿勢を保っている理由は、士郎のお仕置きが怖い理由ではなく―――。

「おぅふ、ぁ、ああじょ、女王ひゃま、こ、この醜き豚めにこのようなお仕置きをを……ふひ、ひひ」
「あ〜……今日は、女王陛下、か」
「こ、この前は、メイド、だったっけ?」
「めいど、って、どっ、ちだっけ?」
「エロいほうだよ」
「「どっちもエロいだろ」」
「―――ふひょひょ」

 マリコルヌはこの拷問のような厳しい訓練を妄想によって耐えているのであった。
 そう、美しい女性によるプレイであると妄想して……。
 
「い、いつ見てもこれは精神にく、くる」
「っく、み、みたくない、見たくないのに―――ッ」
「ぅえ、っおう、ぇぇろろろ」

 逃げたくても逃げられない状況のギーシュたちが、魂消る悲鳴を上げている。そんな中、ただ一人現実から逃げ出しているマリコルヌだけが幸せな顔を浮かべていた。

「あ、ああ……ぼ、僕も目が霞んで……ん? ふ、ふふ、ど、どうやらげ、幻覚まで、見えてきてしまってようだよ」
「げん、かく?」
「っう、ぇぅぇ?」

 焦点が合わない揺らいだ瞳で、赤く染まった空を見上げるギーシュがポツリポツリと呟くと、レイナールとギムリが同じく焦点の合っていない目でギーシュを見て疑問の声を上げる。
 二人の問いに、ギーシュは限界を超えてしまった者がするようなヒクついた笑みを浮かべながら空の一角を見上げ、

「―――あ、ああ、裸の女の子が落ちてきているのが見えるんだよ」

 答えると、

「それって、青い髪で」
「白い肌の」
「「胸の大きな女性」」

 レイナールとギムリが続けるように言葉を紡ぎ、

「「「……は?」」」
 
 と思うと同時に呆けた声を上げ、

「「「はあああああああああああああああああっ!!?」」」

 そして最後に驚愕の声を張り上げた瞬間―――。



「きゅいいいいいいいいいいいいいいいいいい??!」
「びゅひいッ!?!」



 空から落ちてきた青い髪で白い肌の胸の大きな裸の女性が、甲高い悲鳴を上げながら気色悪い笑い声をあげ続けるマリコルヌに激突した。
 
 
 






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