第十章 イーヴァルディの勇者
第三話 空から女の子が?
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ている時は竹刀で叩かれまくれ、いない時はいない時で、さぼっていると何処からともなく矢が襲いかかってくるなど、毎度毎度訓練後は文字通り彼らは死に体状態となってしまい、確実に水魔法のお世話になっていた。
余談だが、基本的にその水魔法の使い手はギーシュのガールフレンドであるモンモランシーが行うため、彼女の腕前が上がっているそうだ。
ともあれ、そういう訳で、彼らは例え足の感覚がなくなっていようとも、余りの筋肉疲労のため吐き気をもよおしてたとしても、気軽に止めることが出来ない身体になってしまっていたのである。止めるとしても、まず最初に勇気ある挑戦者で矢が飛んでこないことを確認しなければならないのである。
で、その勇気ある挑戦者の勝率は、現在のところ四十六戦四十六敗……つまるところ全敗であった。
おかげで現在彼らの頭の中には「訓練を止める=矢が飛んでくる」といった方程式が既に出来上がってしまっていた。
……誰も止めようとしないのも頷けるということだ。
「っく……と言うかほん、とにひが、しずみ、そうだ、ぞ、し、しろう、は、もしか、して、わ、わすれ、て、たりは……」
「さ、さすがに、それは……、ないと」
「ぅえ、ぉぅ、ぇろ……」
三人が息も絶え絶えと、全身をガクガクと震わせながら何時まで経っても戻ってこない士郎について言及していると、
「―――ふひ」
「「「……」」」
唐突に空気が抜けるような奇妙な音が鳴った。
何処か湿ったようなその音が響いた瞬間、先程まで震える声を漏らしていた三人の声がピタリと止まる。彼らの顔に浮かぶのは、疲労と言うよりも何か気味の悪いものを見たと言ったように歪んだ表情。三人の顔は示し合わせたように同じ方向を向き、それを見ていた。
「ふひょ、ふひひ、ひひ」
「「「……」」」
彼らの視線の先にあるもの。
それはマリコルヌだったものであった。
そう、だったもの……である。
もはやそれはマリコルヌ否、人間と言うにははばかれるものであった。
馬に乗っているような奇妙な姿勢を保ったまま、マリコルヌの身体はまるで暴れ馬に乗っているかのように激しく揺れ、全身から流れる汗を周りに振り撒き、虚空を見つめる瞳は激しく震え。微かに開いた口元からは、涎がだらだらと垂れ流れ、時折空気が抜けるような奇妙な音を響かせていた。
誰が見ても明らかにヤバかった。
そして色々と酷かった。
だがそんな状態であっても、それ……マリコルヌは士郎から指示された姿勢は保っていた。
げに恐ろしきは士郎の訓練……と言いたいところであるが、実のところそうではない。
そのことをマリコルヌを怯えた目で見るギーシ
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