第十章 イーヴァルディの勇者
第三話 空から女の子が?
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、突然そんなことを言うのか?
わたしの戸惑った声に、シロウは軽くわたしの頭上に置いた手を離す。
「だから、俺は一人たりとも見捨てる気はない」
「……シ、ロウ?」
何を、言っている?
『正義の味方』になりたいから見捨てない?
何故?
どうして?
それは、どういうこと?
一人でも見捨てたら『正義の味方』とは言えないから?
しかし、大を救うため小を切り捨てるというのは……別に悪ではない―――正義の一つだ。
例え救えなかった者がいたとしても、より多くを救うことが出来れば、それは正しいことだ。
考える。
シロウがどう言う意味でこの言葉をかけてきたのか。
考えてみる。
だけど……わからない。
情報が足りない。
そっと、顔を動かす。
シロウの胸元に押し当てていた顔を上げ、目線を上に。
シロウの顔を―――表情を見る。
わらって……る?
シロウは、笑っていた。
微笑んでいた。
柔らかく……優しい笑みを浮かべてわたしを見つめていた。
……見ているこちらが恥ずかしくなるくらい。
だから、直ぐに顔を伏せてしまう。
逃げるように。
赤らんでいた顔が、更に真っ赤に染まったのを隠すために。
まるで憧れの騎士に笑いかけられた幼い少女のように。
顔をシロウの胸元に押し当てて。
「なぁ、マチルダ」
「ッ!!」
声も、優しく……甘い。
心臓が危険な程高鳴っている。
優しい笑から逃げても、優しい声からは逃げられない。
心臓の音……身体をピタリと押し付けているから、きっとシロウにも伝わっている。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい……でも、離れない―――離れたくない。
紛らわすように、返事を返す。
「なっ、何でっ、『正義の味方』になりたいからって誰一人見捨てないって話になるのよっ。っ、わ、わたしは例えシロウが大を救うため小を切り捨てたとしても悪い何て思わないわよ」
「だけど、悲しい、よな」
「ぇ?」
え?
悲し、い?
それは、どういう……意味?
「だから、俺は誰一人として見捨てることはない」
何時の間にか、彼の胸から顔を上げ、シロウの顔を見つめていた。
彼は、変わらない優しい目でわたしを見ている。
―――その瞳の中に、一瞬悲しげな色が見えた気がした。
「見捨てるようになったら……それはもう、俺がなりたい『正義の味方』じゃなくなるからな」
「―――え」
シロウは瞳に浮かんだ悲しみを隠すように目を細めた。
そんなシロウの目を見つめ、わたしは彼の真意を図ろうとする―――けど、やっぱりわからない。
何で、一人でも見捨てるようなことがあれば『正義の
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