第十章 イーヴァルディの勇者
第三話 空から女の子が?
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こしていた身体を、ゆっくりと倒しながらロングビルは士郎に顔を近付ける。
どちらかがクシャミでもうすれば、キスしてしまうほどの距離で見つめ合う士郎とロングビル。
「……あなたに助けられたわたしが言うのも何だけど、ね……少し……心配になって」
「……………………」
「……アルビオンでのこともそうだけど―――」
一瞬言葉に詰まったロングビルだが、ぐっと歯を食いしばった後、顔を俯かせながらポツリと呟いた。
「……………………あんたは自分の命を軽く考えすぎてないかい」
「…………………………………………」
黙り込む士郎に、ロングビルはふっと吐息と共に鼻を鳴らした。
「はぁ……ねぇシロウ。あんたは知っているわよね、わたしが元アルビオン貴族ってこと」
「? ……ああ」
「だから、貴族がどういったものなのかは、よく知っているわ。貴族は綺麗なだけじゃないってことを……どれだけ汚く……醜いかを、ね」
「マチルダ?」
戸惑った声を上げる士郎に、ロングビルは顔を上げる。
「王族なんてものは……それの極みみたいなものなんだよ」
コツンと、ロングビルは額を当てる。
「王族っていうのはね……始点じゃなくて終点なのよ。王族本人がどれだけ綺麗でも、国にいる貴族の権力が集まる場所だから……本人がどんな考えを持っていても関係ないんだよ。そりゃ貴族にもいい人は確かにいるさ……だけど、そんな奴よりも、やっぱりどうしようもない奴の方が圧倒的に多いんだ……だから、互いに想い合っていても、周りがそれを邪魔をする……貴族が、と言うよりも……王族という国の終点に渦巻く様々な欲望が、ね」
「……………………」
士郎は口を開かない。
何も……言葉にせず……黙り込んだまま……。
「このまま王族に関わっていれば……何時か本当に取り返しのつかないことになるかもしれない」
「それは……」
「……七万のアルビオン軍……ルイズの誘拐事件……あんたの命が危機に陥ったどちらの件も……王族が関わってる」
「……偶然だ」
「……かも、しれない……けど……偶然じゃ……ないかもしれない」
部屋の中に、ぎりっと小さな音が響く。
ぐっと奥歯を噛み締めたロングビルが、何かを耐えるように顔を俯かせている。
「……あんたが正義の味方を目指しているのは……知ってるよ。だけど……ね。見てるこっちは……不安で仕方ないんだよ。あんたが事件に首を突っ込むたびに……どれだけ……」
「…………」
「……ねぇ……シロウ……死んでしまったらそこで終わりだよ。あんたが死んだら、あんたしか助けることが出来なかった奴らが……全員死んでしまうのかもしれないんだ……よ……」
顔を俯かせたままのロングビルは、何かを言おうと口を
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