第十章 イーヴァルディの勇者
第三話 空から女の子が?
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マチルダ』?」
「ダメ」
「へ」
士郎の顔がピシリと固まる。
優しく睦言の如く囁かれた言葉。
しかし、ロングビルの返事はそれを一刀で切り伏せた。
ロングビルの名前を呼んだ瞬間の顔で固まる士郎に、ロングビルは自分の豊満と言える胸を士郎の厚い胸板に押し付けながら囁きかける。
「『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』は色々と勉強になってね」
「べ、勉強?」
「そ、勉強……」
ヒクヒクと頬をヒクつかせる士郎の顔に、ゆっくりと顔を近付かせたロングビルは、
「あの本にも、丁度こんな場面があって、ね」
士郎の耳元で熱く濡れた声で囁く。
「お気に入りの騎士をこんな風に押し倒した伯爵夫人は、まず―――」
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待てっ!! いきなりどうした?!」
燃えるように熱くなったロングビルの肩に手を置いた士郎は、焦った調子で悲鳴のような声を上げる。
「いきなりも何も……いや〜……実はわたしも最近の情報収集で色々と溜まってて……だから、ね、やらない?」
「やりません」
小首を傾げ、ニコリを清々しい笑いを浮かべながら口にしたロングビルの言葉を、士郎は仕返しとばかりにバサリと一刀両断した。
そんな士郎の返事に、ロングビルはぷぅっと頬を膨らませる。
「何よ。女が誘ってるっていうのに断るの?」
「……それが本気なら、な」
士郎の下腹部に跨るロングビルは、士郎を見下ろしながらフンッと鼻を鳴らす。
「六割は本気なんだけど?」
「……残りの四割は」
六割のことについて言及することなく、士郎は自分を見下ろすロングビルに対し続きを促してみせる。
顔を伏せるロングビル。
ロングビルを見上げる士郎の目にも、その顔を伺い知ることは出来ない。
訝しげに士郎の眉が僅かに寄る。
何かを言おうと士郎の口が開きかけた瞬間、ロングビルの口が開く。
「―――あのお姫さま―――って今は女王陛下、か……は綺麗で可愛いわよね」
「………………」
無言の士郎に、ロングビルはスッと目を細めるとポツリと呟く。
「あの子のこと……本気なの?」
「…………さて、ね」
「―――誤魔化すんじゃないよ」
士郎のため息のような返事を、ロングビルは鋭い声で切り裂く。
その目と声は、言葉以上にごまかしを許さないと示していた。
「…………タバサも、よ」
「……………………」
士郎はロングビルと見つめ合いながら、じっと黙り込んでいる。
「ねぇ、シロウ……あなた……大丈夫?」
「…………大丈夫―――とは」
ポツリと、問う。
「何でもかんでも背負いすぎじゃないかって言ってるのよ」
両手を伸ばし、士郎の両頬に手を添えると、起
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