第九話 〜アスナが地球へ行くお話 前編【暁 Ver】
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ねていると、スバルまで食事を振る舞われている姿が目に入る。あたしはふつふつと沸き上がる怒りを押し殺しながら、気を取り直す。心を落ち着かせるように息を吐き、さぁアスナの説教へ戻ろうと振り返ると誰もいなかった。
あたしは全てのやる気を心のごみ箱へと放り投げ、人様の家だと言うことも忘れ大の字になって転がった。このまま不貞寝でもしてやろうかと考えていたところに、アスナが戻ってくる。
「何処に行ってたの?」
「……といれ」
「ああ、そう」
「……おっきいほうじゃない」
「そんな報告はいらない」
アスナを下から見上げながら溜息をつく。これが悪意を持ってやってるんなら本気で怒りもするし、さっさと見放してしまうだろう。我ながら損な性分だと思う。……いつからだろうか。あたしがこうなったのは。周りを見ず、意見を聞かず、前を向いていたつもりが、後ろを見ていたあの頃。それは頑張ってるんじゃなくて、無理をしているだけだってことに気付かせてくれた親友が三人。彼女達に出会わなければ、あたしは今ここにいただろうか。……きっといたとしても酷く歪んでいたに違いない。
珍しくスカートを履いている彼女を再度見上げる。取り敢えずは、そうだ。寝転がっている人の傍にそんな短いスカートを履いて近づくことの危険性を説くことにしよう。あたしは視界に入る眩しい純白と、可愛らしい猫のワンポイントを見ながら、そんな事を考えていた。
彼女は腹を抱えて笑っていた。言葉通り、両手でお腹を押さえながら。笑う度に山吹色した髪が揺れる。
「そ、それで? あ、あんたたちの新人の一人が、つ、着いた早々逃げちゃったわけ?」
「笑い事やないで……アリサちゃん」
「ごめんごめん。それにしても、結構な問題児ね」
「本人に悪気はないんやけど、行動が読めないんやなぁ。今回もテンション上がってもうて、どないしよう? 取り敢えず走っとけ、みたいな感じやろうし」
「……猫みたいだね」
「そうやな。すずかちゃんの言う通り、どっちかって言うと猫や。間違いなく。気紛れやしな」
すずかと呼ばれた少女は『猫』と言う単語に僅かに反応したが、曖昧な笑みを浮かべながら頷いた。
「それにしても今回の任務は随分と急だったわね。あの提案が実現したら、もっと協力してあげられるんだけどね……」
コテージのテラスにて、はやてと一緒に雑談に興じているのは『地球』に於ける民間協力者……アリサ・バニングスと、月村すずかである。はやて達の事情を知っている数少ない地球人であり、なのはやフェイトと同じように親友という間柄でもあった。
協力者とは言っても、管理局と直接関わっているわけではなく、今回のような
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